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古代人の生活、関心誘う 東松島市内2史跡発掘 人骨の最新研究、発表

古代の人骨のDNAや骨コラーゲンなどを分析し、当時の人々のルーツや生活を読み解いた講演会

 東松島市の国史跡「里浜貝塚」と、「赤井官衙(かんが)遺跡群」を構成する「矢本横穴」から発掘された人骨の最新の研究結果を発表する講演会「縄文人と古代人の骨を読む」が8日、東松島市コミュニティセンターで開かれた。古代の人骨を生物学的に捉え、当時の人々のルーツや生活を読み解く研究に、約170人の来場者は熱心に耳を傾けた。

 同市の奥松島縄文村歴史資料館が主催。前半は人骨から検出されたDNAに着目した研究について、山梨大医学部法医学講座教授の安達登氏が発表した。

 安達氏は縄文人と弥生人のDNAを遺跡ごとに調べ、現代人と比較。その結果、里浜貝塚の縄文人は東北と関東の縄文人に多いタイプのDNAを持っていることや、矢本横穴の人骨は縄文より後の時代に見られる特徴があると判明した。

 安達氏は「今後は石巻市の五松山洞窟遺跡や梨木畑貝塚について調査を進める」と話した。

 後半は、人骨調査から明らかになった当時の食生活について、東京大総合研究博物館教授の米田穣氏が語った。米田氏は人骨に残るタンパク質「骨コラーゲン」を抽出し、炭素や窒素の値などから食べ物を分析した。

 その結果、さまざまな時代の人骨が見つかった里浜貝塚では、古墳時代などは米を多く食べ、海産物は少なかったと判明。矢本横穴は特に窒素が多く検出され、米を多く摂取した可能性があると分かった。

 米田氏は「矢本横穴では社会的権力者が稲作をコントロールしていたのではないか」と見解を語った。

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