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早期離職防止へ研修、来月から 若手社員や経営者向け講話 石巻商工会議所

4月に実施された石巻商議所主催の新入社員研修。10月にはフォローアップセミナーが開催される

 新入社員の早期離職が全国的な課題となる中、産業人材の育成に力を入れる石巻商工会議所は、離職防止に向けて本年度も研修事業に取り組む。入社3年以内の若手社員を対象にフォローアップセミナーを10月に開催するほか、若手社員らが辞めない職場づくりについて、経営者や人事担当者向けの研修会を予定している。

 厚生労働省の調査などによると、新入社員の3人に1人は3年以内に離職しているとされる。石巻商議所にも2023年度「若い人がすぐ辞めていく」と複数の事業主から声が寄せられた。入社半年後に3人辞めたケースもあった。「思っていたものとちょっと違う」というのが離職理由だったという。

 石巻商議所は「社内でコミュニケーションがうまく取れないことが辞めていく理由ではないか」と考察し、新入社員らを対象に初めてフォローアップコミュニケーション講座を昨年10月に開催した。

 石巻市内の16社から28人(うち入社1年未満18人)が受講し、相手のタイプに合わせた接し方や伝え方など、コミュニケーションの基礎を学んだ。

 本年度は10月2日、ビジネスコーチの阿部侑生さん=ドリームフィールド(仙台市)代表=を講師に実施する。新社会人から半年が経過した中、気持ちをリセットし、コミュニケーションスキルを高めることで、さらなる成長につなげてもらう。

 今年2月には、若手社員らが辞めない職場にするために社員定着セミナーも実施した。市内企業の経営者や人事担当者ら41人が受講し、新入社員定着のための管理職の意識改革やコミュニケーション改善の方法などについて研修した。

 若手社員らの早期離職は、募集広告や育成で経費がかかっており、企業にとっては損失。社員のモチベーションや生産性、企業イメージの低下といった影響が指摘されている。

 石巻商議所地域・人づくり支援課の担当者は「新入社員らの離職を防ぎ、定着率の向上につなげたい。人口減少時代の中で産業人材の確保・育成は重要課題だ」と強調する。

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