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新たな党首、誰に期待? 自民総裁選、立民代表選 石巻地方の声

 自民党総裁選(27日投開票)と立憲民主党代表選(23日投開票)の候補者が連日、論戦を交わしている。総裁選には過去最多の9人が立候補。代表戦もベテランから1期生まで4人が名乗りを上げた。多様な顔ぶれの中から次期首相と、政権交代を目指す野党第1党のリーダーが決まる。石巻地方の市民は誰の、どんな個性や主張に関心を寄せているのか。声を集めた。

自民総裁選

自民党総裁選の演説会で候補者の演説に耳を傾ける来場者たち=15日、福島市

 自民総裁選候補者で注目度が最も高かったのは小泉進次郎元環境相(43)。石巻市門脇の自営業男性(43)は若年層への発信力に着目し「市民が政治に興味を持てないことが一番の問題。若く、話し方で関心を集められるリーダー像には期待が持てる」と話した。

 同市中里4丁目の団体職員男性(59)は政策活動費の廃止や選択的夫婦別姓制度の導入に賛同し「マンネリを打破し、自民党の体質を改善できる」と評価。「若い力と実行力で今後の政治を引き上げていける」との見方もあった。

 一方で「良くも悪くも感情が顔に出やすい。世界のトップと渡り合えるのか」と不安視する人も。「期待はしているが、話し方に角が立つ部分がある。もう1期ぐらい経験を積んでからでも」との声もあった。

 次いで名前が多く上がったのは石破茂元幹事長(67)。同市北村の農業男性(77)は「原発の稼働に最も慎重で、他の政策も一番地に足がついている」と支持する。他にも「地方重視の姿勢は評価できる」「一度くらいやらせてみてもいいのでは」といった声もあった。「協調性に欠け、唯我独尊の傾向が難点」との指摘もあった。

 河野太郎デジタル相(61)は高い決断力への評価が割れた。同市鹿妻の公務員男性(27)は「上に立つ人が思い切った判断をしなければ、何も変わらない」と好意的に受け止めた一方、「官僚や部下へのパワハラになるのは心配」との懸念も口に。「個性が強過ぎる」という意見もあった。

 東松島市赤井の無職女性(83)は林芳正官房長官(63)に対し「話し方に温厚そうな人柄がにじみ、国民の声に耳を傾けてくれそう」と印象を語った。「政策がきちんとしている」との評価も聞こえた。

 若い世代は子育て、教育分野に関心を寄せる。石巻市新栄2丁目の大学生女性(19)は最も若い小泉氏に注目する一方、政策面では義務教育の給食費無償化や奨学金拡充を主張する上川陽子外相(71)と、給食費、子ども医療費、出産費をなくす「三つのゼロ」を掲げる加藤勝信元官房長官(68)に期待した。

 女性候補は上川氏と高市早苗経済安全保障担当相(63)の2人。女川町女川2丁目の自営業女性(55)は「海外では女性がかじ取りを担う国も多い」と初の女性首相誕生の可能性に注目する。一方で「ベテラン議員とうまく連携できるだろうか。今ではない気がする」とも語った。上川氏には「『新しい景色を』とうたいながら具体的な政策も示している」、高市氏には「実行力がある」と評価する声もあった。

 国政と地方の現状に距離を感じる市民も多かった。同市住吉町の自営業男性(69)は「公約ではいいことを言うが実行されない。石巻の街中は人が歩いていない。地方に目を向けてくれる人がいたらいいが」とこぼした。東松島市野蒜の主婦(33)は「(与野党問わず)誰にも期待できない。地方の要望はかなわないので、自分たちでどうにかするしかない」と語った。

 茂木敏充幹事長(68)は「重要閣僚を経験しているが、総裁はイメージできない」との声が。小林鷹之前経済安保相(49)の名前は挙がらなかった。

立民代表選

 立民代表選では野田佳彦元首相(67)の経験に期待する声が多数を占めた。

 石巻市中央の自営業男性(70)は「落ち着いている。政権を取りたいなら総理経験がある人がいいと思う」と評価。「立民は批判ばかりせず、良い政策は一緒にやろうという姿勢を見せてほしい」と話した。同市桃生町の会社員男性(68)も「経験があり、一番理にかなったことを主張している。自民に対抗するには野田氏が適している」と強調した。

 野田氏が訴える国会議員の世襲制限導入に共感する人も。「親の地盤にあぐらをかき、国民の痛みに思いが至らない国会議員が多過ぎる」と賛同した。

 枝野幸男前代表(60)を推す声もあった。政策面では「介護や保育の分野で、担い手の所得を増やす必要性に共感する」という意見があった。

 泉健太代表(50)に対しては、教育無償化の主張を支持する意見があった。1期目の吉田晴美衆院議員(52)には、消費者目線に立った政治姿勢に好感を持つ市民がいた。

 党全体に対しては「緊張感のある政治状況が必要。野党が弱いから、与党・自民が慢心する」と奮起を促す声も聞かれた。

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