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わいどローカル編集局 >広渕(石巻市)

釈迦如来木仏座像が本尊として安置されている本堂と奥野住職

 「わいどローカル編集局」は石巻地方の特定地域のニュースを集中発信します。21回目は「石巻市広渕地区」です。

1589年創立、青竜伝説残る 広淵寺

 国道108号交差点近くの「青龍山広淵寺」は1589(天正17)年創立と伝わる。地域を守り、住民と歩んできた歴史がある。

 県寺院大総覧などによると、地区にはかつて玉造川(江合川)が流れ、大きな淵には巨大な青竜がすみ着いて村に病を流行させ、人々を困らせていたという。

 竜の災い封じのため、人身御供として、棺に入れた娘を淵に投げ込もうとした。そのとき、僧が現れ、身代わりを申し出る。竜が棺に襲いかかった瞬間に僧が飛び出て、如意棒で倒した。淵は静まり、災いも起こらなくなった。僧は後に広淵寺を開いたとされる。

 本堂の裏側には今も、青竜のすみかだったという言い伝えがある「青竜の池」の跡が残る。

 時代は下って約100年前。広渕沼の干拓が行われ、県内各地から多くの若者が移住してきた。農作業に励む若い夫婦が困ったのが幼い子どもの世話。当時の住職が1926年に本堂を開放して託児を受け付け始めた。

 30年には本堂とは別に「隣保館(りんぽかん)」を建築。昼は託児所、夜は剣道の稽古をする青少年の研修場として使われた。隣保館は2003年の県連続地震で被災し、解体された。

 住職の奥野昭典(しょうてん)さん(60)は、地域の子どもたちに地域をより深く知ってほしいと願う。広渕小で防災教育に携わるほか、広渕の地名の由来を講演したり、広渕地区子供会育成会らが運営する深谷サークルに参加したりしている。

 奥野さんは「寺は隣保館によって子どもとのつながりがあったため、地域の歴史を伝える役割があると感じる。住民の皆さんの憩いの場となるような、気軽に立ち寄れる寺院でありたい」と語った。

青竜がすみ着いていたという言い伝えがある池の跡地

地域ぐるみで活動 広渕小・深谷サークル

縁日で射的を楽しむ子どもたち(実行委員会提供)

 石巻市広渕小(児童177人)には年間を通じ、子どもたちが地域文化を学びながら、住民や他学年との交流を深め、保護者同士の親交も育む「深谷サークル」がある。

 例えば、5年生は住民の協力を得て、水田を借りた体験学習をする。田植えや稲刈り、脱穀など1年間、稲作に向き合う。冬の「お正月教室」には全学年が参加。住民の指導を受け、しめ縄などの正月飾り、たこ揚げのたこを作る。

 今月7日にあった「秋の学校」では、実行委がスーパーボールすくいや射的などの縁日を出したり、竹を加工して水鉄砲を作ったりした。河南公民館のジュニアリーダー4人と全学年の児童や未就学児、実行委含め108人が参加。縁日の遊びを楽しんだ。

 2024年度実行委員長の須田佑介さん(40)は「新型コロナウイルス禍で20~22年は開催できず、地区内の交流が希薄になってしまっていた。活動を通してふるさとの良さや人の温かさをともにつくり、広渕の良さとして伝えていきたい」と話した。

本格中華を手頃な価格で 龍昇

地元に親しまれる店を心がける吉田さん

 石巻市広渕地区に中華料理店の「龍昇」がある。2018年12月にオープンし、地元住民に親しまれ、愛される店として定着している。

 店主の吉田博勝さん(32)は、京都の中華料理専門店での修業を経て、自宅前に店を構えた。妻祐里さん(30)と父実さん(67)の3人で切り盛りする。

 「手頃な価格で本物の中華を地元の人に食べてもらいたい」。吉田さんは創業の原点を忘れず、来店客らに料理の腕を振るう。

 平日は会社員、土日は家族連れなどの来店が多いという。1番人気のメニューは、点心、五目あんかけ焼きそばに、スープ、デザートが付いた龍昇セット(1000円)。麺類では、坦々麺(950円)がよく出ている。中国産の黒酢を使った黒酢酢豚(1000円)は女性客に好評だ。

 月替わり、四季ごとのメニューもそろえている。秋のお薦めはサケとイクラのチャーハン、里芋入りマーボー豆腐(各1100円)など。

 新型コロナウイルス下は出前やテイクアウトなどで乗り切り、昨年1月に宴会も再開した。十数人が入れる宴会用スペースがあり、忘年会や新年会にも対応する。

 新規顧客の獲得へ交流サイト(SNS)を使って情報発信もする。「おいしい料理を提供し店のファンを増やしたい」と吉田さん。「顧客満足度の高い店を目指し、さらに精進していく」と力を込める。

 営業はランチが午前10時半~午後2時、ディナーは午後4~8時。定休は水曜。石巻市広渕町82。連絡先は0225(25)7415。

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 今回は広渕販売店と連携し、渋谷和香、浜尾幸朗の両記者が担当しました。次回は「石巻市鮎川・大原地区」です。

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