藻場再生へ CF活用し磯焼け対策 県、来月1日から募集
県は10月1日から、東日本大震災で被災し、海水温上昇の影響も受ける沿岸部の藻場の再生を進めるため、ふるさと納税と組み合わせたクラウドファンディング(CF)を実施する。藻場の重要性と厳しい現状を広く伝え、再生への支援を募る。
藻場は生物の生育や産卵の場として重要な役割を担うほか、二酸化炭素も吸収し、脱炭素社会の実現にも貢献する。県は「みやぎブルーカーボンプロジェクト」の一環で、2021年度から石巻市の沿岸と網地島で試験的に藻場の磯焼けを防ぐ対策を進めている。
プロジェクトには、県漁協石巻地区支所などでつくる「石巻セーブ・ザ・オーシャン・プロジェクト(ISOP)」や網地島振興協議会磯焼け対策部会など民間の3団体が参加。藻場を育てるブロックを海底に沈め、アラメやコンブの生育に取り組む。県はCFで集めた資金を各団体への補助に充てる。
震災で県沿岸部の藻場約5000ヘクタールが広範囲で消失した。15年に2056.4ヘクタールに回復したものの、急激な海水温の上昇や大量発生したウニの食害が深刻になり、19年には1113.6ヘクタールに減少した。県は29年度までに1800ヘクタールまで回復させることを目指す。
CFの募集期間は10月1日~12月31日。目標金額は700万円。特設サイトなどで一口5000円から受け付ける。寄付はふるさと納税と同じ扱いとなり、所得税と住民税が控除される。県外在住者は水産加工品などの返礼品を受け取れる。
県がふるさと納税とCFを組み合わせて施策を展開するのは初めて。県水産林業政策室企画調整班の担当者は「海水温上昇で藻場の磯焼けは危機的な状況にある。現状を知ってもらうためにもCFは有効だ」と説明した。
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