コメ概算金2800円追加へ 2024年産主要3品目、集荷競争過熱に措置 いしのまき農協
いしのまき農協(石巻市)は、2024産米の概算金のうち、主要3品目でそれぞれ60キロ当たり2800円を追加することを決めた。全国的なコメ不足の影響で、民間業者との集荷競争が過熱していることに対する措置。これまで数百円程度の追加はあったが、概算金決定から1カ月足らずで2000円以上引き上げるのは異例だ。(相沢美紀子)
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追加払いを含め、農協が生産者に支払う概算金額は、ひとめぼれ1万8700円、ササニシキ1万9000円、つや姫1万8800円と、いずれも前年より6600円増えた。「過去に見たことがない上げ幅」(農協の担当者)だ。
9月27日の理事会で追加払いを決めた同農協は、全組合員に対して金額を周知する文書を配布。「1俵でも多く農協への出荷をお願いします」と見出しを付け、出荷を呼びかけた。
生産者によると、複数の販売卸業者が稲刈り前から石巻地方に入り、買い取りを打診。石巻市桃生地区の男性は「来たことがない業者が来て、概算金を上回る額を提示された」と話す。新米の流通後も品薄は解消されず、民間業者が生産者から直接高値で仕入れる状態が続く。生産者らは「30キロ1万1000円と聞いた」「フレコンバッグごと売ってほしいとトラックで回っている」などと話す。
同農協の24年産米の集荷目標量は41万俵(1俵60キロ)。担当者は「集荷状況はゆっくりだが、9月から雨の日が続いて稲刈りが遅れている生産者も多いため、その要因はまだ見えない」と説明する。
物価高騰を背景に、農機や燃油、肥料など生産コストは上昇。農林水産省の生産費統計で、個人農家の生産費は60キロ1万5273円(22年産米)に上り、昨年までの概算金額を上回っている。同市稲井地区の男性生産者(81)は「コメを作るほど赤字になる状況だったが、今年の米価が続くなら息子に稲作を託せる」と価格維持に期待する。
一方で価格の高止まりを懸念する生産者も多い。弁当店や飲食店にコメを卸す同市北上地区の男性生産者(61)は「店からの注文頻度は確実に減った。これほど高いと店も消費者も苦しく、コメ離れが進んでしまう」と気をもむ。
同農協営農部の遠山和之部長(47)は「急激な価格上昇でコメは高いと思われがちだが、1膳当たり40円程度。担い手が生産を続けられるよう、消費者には理解をお願いしたい」と語る。
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