閉じる

ノモンハン事件85年 石巻・佐々木さん宅で企画展 無言の遺品、戦禍伝える

来館者にノモンハン事件に関する展示品を紹介する佐々木さん

 石巻市北村の自宅で私設の「平和資料館」を運営する佐々木慶一郎さん(77)が、1939年に旧満州(現中国東北部)とモンゴルの国境地帯で日本、ソ連両軍が衝突した「ノモンハン事件」の企画展を開いている。地元ゆかりの兵士の遺品が、戦闘の激しさや悲惨さを伝えている。

 ノモンハン事件85周年の節目に合わせて企画。資料館の所蔵品から、稲井村(現石巻市稲井)出身の後藤東一郎大尉の軍服や勲章といった軍装品、日記など約40点を展示している。

 後藤大尉は第7師団歩兵第28連隊の中隊長として戦地に赴き、39年8月24日、頭や体に敵弾を受け戦死した。遺族に贈られ、本人が付けることはなかった金鵄(きんし)勲章は、戦争のむなしさを物語る。

 ソ連機による爆撃、ろ獲した戦車など最前線の様子を収めた写真は、後藤大尉と同じく第7師団所属で激戦から生還した斎藤忠上等兵=北海道出身=の遺族が資料館に寄贈したもの。日ソ両軍の作戦行動や兵器などが確認できる。

 ノモンハン事件で旧日本陸軍は大損害を被った。現場の将兵の多くが責任を厳しく問われ自決に追い込まれるなど、旧軍に「精神主義」がはびこる転機になったとされている。

 佐々木さんは「上層部が責任を取らない一方、末端の兵士には、捕虜になるのは恥ずべきこと-と自決を強いていた。現代日本の社会構造にも通じるものがあるのではないか」と話す。

 企画展は今月末まで。連絡先は佐々木さん0225(73)4057。

関連リンク

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ