子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(16) てんやわんやの朝 トラブル連鎖し大混乱
【石巻市・柴田礼華】
とある水曜日。次女しお音の保育園から呼び出しの電話が鳴りました。38度の発熱とのことで、すぐ保育園にお迎えに向かいます。先生の話では、昼食はしっかり食べたけれど、いつもより元気がなく、検温すると発熱していたとのこと。数日前から鼻水、せきが出ており、運動会の疲れや朝晩の寒さもこたえたのかもしれません。
かかりつけの小児科に電話をするも、すでに予約はいっぱいで、近くの内科や別の小児科に電話するも休診。さらに別の小児科2カ所は通話中でつながらず…。恐らくその日はわが家のように小児科を探し求める保護者がたくさんいたのではないかと思われます。
そして、そんな時に限って、夫が1泊2日の福島出張に出ており、86歳の義父(通称せんじい)、認知症で目もほとんど見えない87歳の義母レツさん、4歳の長女あま音、1歳の発熱中の次女しお音の4人と私で一夜を乗り越えなければなりません。日中、長女の幼稚園お迎えの時間は友人が、夕方から娘たちの寝かし付けまでは義姉が来てくれて、なんとか家族全員眠りについて安心したのもつかの間、問題は朝です。
■娘が突然の嘔吐
翌朝6時過ぎに目を覚まし、おなかを空かせたしお音が「パン、パン!」と台所にやってきました。食欲が戻って良かったとパンがゆとバナナを食べさせ、しばらくすると痰(たん)がからんだせきが出始め、そのまま嘔吐(おうと)。まだ洗濯物も干さなきゃならないし、長女の幼稚園の支度や送り、義母のデイサービスの支度、義父を耳鼻科に送るミッションもあります。
そもそも次女は保育園に行ける体調ではないので、欠席の連絡をしなくてはなりません。ということは、今日自分が聞きに行く予定だった介護にまつわる講演会も行けない。こちらも欠席の連絡をしなくては。でも目の前には、吐しゃ物と汚れて泣いている次女がいて…次々迫り来る課題に優先順位が分からなくなります。
さらに悪いことは重なるもので、一生懸命レツさんの朝食や服薬のお世話をしていたせんじいが「薬を落とした!」と叫んでいます。何でも口に入れるしお音が食べてしまったら大変です。しばらくみんなで1粒の錠剤の捜索を始めたのですが、またまたしお音が嘔吐。もう、リビングはしっちゃかめっちゃかです。
■一瞬の隙に外へ
私が吐しゃ物の処理としお音の着替えをしている間に「ピンポーン」。玄関のインターホンが鳴りました。レツさんのデイサービスのお迎えです。そちらはせんじいとあま音に任せて、私は吐しゃ物処理に専念し、お風呂場に汚れた服を運んだ一瞬の隙に、リビングにいたしお音の姿がありません。玄関にはせんじいとあま音がいるので、さすがに外には出ないだろうと思ったら、なんと2人の間をすり抜けて、はだしのまま玄関の外にいるではありませんか。優先すべきは命!と決め、しお音を確保しました。
いろいろな事態が収束した後、せんじいが「いつもレツさんに『薬落とすなよ』って言ってるのに、人のこと言えないな」と大層反省している様子。私は毎朝の混乱を共に戦うチームメートの夫の存在の大きさを改めて実感した朝でした。
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