2024衆院選・宮城4区 原発再稼働 住民、避難道整備促進求める 4氏の主張は
27日投開票の衆院選宮城4区で、4候補が東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を巡り、それぞれの主張を展開している。自民党は原発推進を鮮明に打ち出し、立憲民主党も「再稼働が迫っている状況で賛否を論じても仕方ない」と容認する姿勢を示す。立地地域の住民は、再稼働を巡る論戦が、過酷事故に備えた避難道整備の促進につながればと期待を寄せる。
「再稼働もいよいよだ。東北電とコミュニケーションをしっかり取って、徹底的な情報開示をやってもらう」。17日、立民前議員の安住淳氏(62)は女川町内での個人演説会で支持者に呼びかけた。
党が「原発ゼロ」政策を掲げる一方、再稼働間近の同原発については「賛否を論じる状況にない」との姿勢だ。4区で候補擁立を見送った共産党の票取り込みを期待しつつ、電力系労組の支持を受ける背景もある。取材には「東北電は(再稼働に向け)誠実にやっている」とも述べた。
翌日朝、自民前議員の伊藤信太郎氏(71)は町内の水産会社でマイクを握った。「女川は世界一厳しい安全基準をクリアした安全な原発」と強調。直前まで原子力防災担当相を務めた経験を生かし「事故が起きないようにする」と述べた。
脱炭素やエネルギーの安定供給に向けた原発の「最大限活用」を掲げる党方針を受け、立地2市町の演説では原発推進を前面に打ち出す。陣営は「原発反対の共産と電力労組の板挟みで(賛否を)決められないでいる」(桜井充選対本部長)と立民をけん制する。
日本維新の会新人の佐藤雄一氏(45)も原発推進を打ち出す。「使える原発はしっかりと使った方がいい」という。
3候補は、原発が立地する牡鹿半島などの避難道整備の推進を訴える。「(整備について)経産省と話をしている。とにかく急ぐように言っている」(安住氏)、「複合災害に備えた防災体制をなるべく早く実現する」(伊藤氏)などと声を張り上げる。
女川町竹浦の外国語指導補助員鈴木成夫さん(76)は「いつまでに避難道が完成するかなど、より具体的な話を聞きたい」と注文。その上で「どの候補者が当選しても、選挙で約束した道路整備をしっかり進めて住民を安心させてほしい」と求めた。
れいわ新選組新人の大林正英氏(60)は唯一、女川原発の即時廃止を主張する。18日、石巻市での取材に「住民の安全確保が第一。原発の代替となる再生エネルギー産業を育成する。国のエネルギー計画も見直す」と述べた。
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【遊説日程(23日)】
〔伊藤陣営〕
▽選挙カー=石巻市、東松島市、塩釜市、多賀城市、七ケ浜町
▽個人演説会=七ケ浜中央公民館(午後7時)
〔大林陣営〕
▽選挙カー=塩釜市、多賀城市、利府町、富谷市、松島町
〔佐藤陣営〕
▽選挙カー=東松島市、JR松島海岸駅前、大郷町、大和町、イオンモール富谷前、石巻市
〔安住陣営〕
▽選挙カー=東松島市、大郷町、大衡村、大和町、富谷市
私の一票
■主婦・佐々木かづ子さん(76)=東松島市矢本
庶民の暮らしが分かる人に票を託したい。大地震と豪雨に見舞われた能登半島は復興が進まず、被災者が気の毒だ。裏金に関与した議員には全額被災地に寄付するような姿勢が欲しい。
人口減少と高齢化で将来が心配だ。年金は減り、国民年金での生活は苦しい。海外などからの移住者を増やして地域産業を維持するような、思い切った施策に期待したい。
■主婦・須藤れい子さん(80)=石巻市飯野岩崎
集落に子どもが少なくなった。若い世代の地方離れが心配だ。解決策として、1次産業がもっと稼げるようになる政策を望む。コメの価格がこれまで低過ぎたこともあり、若い世代で農業に携わる人が少なくなった。農業や漁業で十分に生活できるようになれば、若い従事者も増えるのではないか。投票では、いろいろな世代の声を聞いてくれる人を選びたい。
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