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社会人野球日本選手権大会きょう開幕 日本製紙石巻、来月2日初戦 「真向勝負」

素振りで打撃フォームを確認する選手たち。本大会に向けて集中力が高まっている

 第49回社会人野球日本選手権大会(公益財団日本野球連盟など主催)が29日、大阪市の京セラドーム大阪で開幕する。石巻市の日本製紙石巻が2017年以来、3度目の出場を果たす。

 大会には全国各地の予選やJABA大会などを突破した31チームと、7月の都市対抗野球大会を制した三菱重工East(神奈川県)の計32チームが出場。トーナメントで社会人野球の頂点を争う。

 日本製紙は9月に仙台市民球場であった東北最終予選を勝ち抜き、全国への切符をつかんだ。本大会初戦は大会5日目の11月2日午後2時から、第2試合でトヨタ自動車(JABA九州大会優勝・愛知県)と対戦する。昨年の都市対抗優勝チームで、日本選手権でも過去6回の優勝経験がある強豪に挑む。

 日本製紙が出場した過去2度の本大会は、いずれも初戦敗退だった。前回17年は1回戦で、今大会も当たるトヨタ自動車に敗れた。チームはリベンジに燃えている。

 今年は都市対抗本大会でも2回戦に進出。二つの全国大会出場をかなえた。大舞台や日々の練習で磨いてきた「つなぐ野球」を武器に、躍進を期す。

中嶋政弥主将「感動をもう一度地元に」

 今年は都市対抗野球大会と日本選手権大会でともに全国大会に出場できた。都市対では1回戦を突破し、応援してくれた皆さんと一緒に感動を分かち合うことができた。チームとして本当に幸せだった。日本選手権でも、もう一度石巻に感動を届けたい。 
 チームは練習でも試合でも年齢に関係なく、皆が楽しく、明るくやっている。全国の舞台では、そんなチームの雰囲気を感じてほしい。個人にも注目し、選手同士の「つなぐ野球」を見てもらえるとうれしい。 
 初戦の相手のトヨタ自動車は守りが堅く、隙のないチーム。7年前の日本選手権初戦で負けた相手でもあり、リベンジしたい。同時に、日本選手権は補強選手がおらず、チームのメンバーだけで戦う。自分たちの野球がどこまで通用するかを試すチャンスでもある。 
 まずは1勝。万全の態勢で臨み、ピンチを迎えてもしのぎ、少ないチャンスを全員でつなぐ。成果を上げ、会場や石巻で応援してくれる人に大きなニュースを届けたい。 
 石巻の思いを大阪に届け、戦う。「てっぺんとったるぞ」

【試合日程】

【大会出場への歩み】
◇第49回社会人野球日本選手権東北最終予選(9月7~9日・仙台市民球場)
▽準決勝  ○7―0 トヨタ自動車東日本
▽決 勝  ○7―2 七十七銀行

<予選・決勝プレーバック>
 日本製紙石巻が快勝した。二回に橋本の左適時打で先制して勢いに乗ると、2死満塁から小林の左前適時打で2点を追加した。五回に2点を奪われ1点差に迫られたが、七回に丹呉、小野の連続二塁打などで4点を追加し、突き放した。先発生長は8回2失点と好投し、リードを守り切った。

東北最終予選決勝で七十七銀行を破り、本大会出場を決めた日本製紙石巻硬式野球部の選手ら=9月9日、仙台市民球場

投打で活躍 期待の若手2選手と監督に聞く

 日本製紙石巻は今季、7シーズンぶりに再就任した伊藤大造監督の下、「真向勝負」をスローガンにチーム一丸となって戦ってきた。7月の都市対抗野球では、2013年以来の初戦突破を果たした。選手たちは全国の舞台を経験し、9月の日本選手権東北最終予選でも大きな成長を見せた。投打の期待の若手、川合勇気投手と宮川将平内野手を紹介する。伊藤監督には大会への意気込みや初戦の戦い方を聞いた。

■伊藤大造監督 積極的に仕掛け、接戦へ

-本大会出場までの戦いを振り返って。 
 「都市対抗の後もチームは盛り上がったままで良い雰囲気だ。試合の中でミスをしたら、その都度確認して修正する。厳しい戦いも闘争心を持ってやってきた」 
 「最終予選決勝の相手は永遠のライバルの七十七銀行だった。戦い方は変わらず、投手が踏ん張り、打線がつながった。勝ったり負けたりを繰り返しているが、大事な所は勝ってきた」

-チームの課題は何か。 
 「油断すると集中力が落ち、大事な所でミスをする。選手全員の底上げが必要だ。練習の時から試合と同じ気持ちで厳しく指導している」 
 「プロや社会人の強豪との差を埋めるため、実戦を大切にしてきた。今季は試合数を90試合以上と大幅に増やし、1人300打席、100イニング以上を目指してきた。選手も数字にこだわり、勝負を決める場面も多く経験してきた」

-初戦はどう戦うか。 
 「相手は全国トップクラスのトヨタ自動車。攻守ともに良い選手ばかりで、足を絡めて点を取りに来る。こちらから積極的に仕掛け、接戦に持ち込みたい」 
 「先制されても焦らず、着実に点を返していくことが大事。追い込まれても、送りバントや進塁打でとにかくつなげる。相手がエラーするようなプレッシャーを与え続けたい」

-目標は。 
 「これまで京セラドームでは0勝2敗。都市対抗に続いてまずは1勝し、2勝目につなげていきたい。トヨタの胸を借りる気持ちで挑み、できるだけ自分たちのペースで戦いたい。初めて全国の舞台を経験する若手もいる。来年、再来年につながる試合をしたい」

■宮川将平選手 味方を生かす打撃、注力
 場面ごとに役割を見極め、味方を生かすバッティングを心がける。チームが掲げる「つなぐ野球」を自身の打席で体現。昨夏からは内野と外野で併用され、活躍の場を幅を広げてきた。 
 都市対抗では主に本職の二塁手として起用されたが、外野手が少ないチーム事情から、今季は外野を守る試合が8割を占める。「フライの飛距離や不規則に変化する軌道を読むのが難しく、苦労した。まだ不安もあるが、打球はだんだんイメージできてきた。与えられた役割を全うしていきたい」と力を込める。 
 打席では「つなぐ1本」を意識する。都市対抗初戦のKMGホールディングス戦では、1点を追う九回無死一塁からきれいに左前に運び、チャンスを拡大。足の速さを生かし、逆転のホームも踏んだ。 
 シーズン中もフォームを改良し続ける。これまではポイントを前にしてさばいていた直球を、引きつけてから打つ意識に変えた。タイミングの取り方を変えることで、力を抜いても強い打球を打てるようになったという。 
 日本選手権に向けては「経験が自信になっている。1本で決めるより、つなぐ1本でチャンスをつくりたい」と語る。

■川合勇気選手 制球力と経験が自信に
 球速150キロに迫る直球と得意のスライダーで打者をねじ伏せる。今シーズンは変化球を中心に制球力を高めたことで、接戦や走者を背負う場面で起用されるようになった。 
 先発では立ち上がりに課題があった。「最初から全力で投げられる中継ぎが自分に合っている」と言う。都市対抗2回戦では、NTT西日本に2点リードされた三回2死一、三塁の場面で登板し、三振を奪ってピンチを切り抜けた。四回も三者凡退に抑え、相手打線を封じた。 
 「ピンチだけど、自分が出した走者じゃない」。そんな気構えが投球を楽にしてくれたという。「目の前の打者に集中できる。抑えた経験で自分に自信が持てた」と話す。 
 今季は「コントロールが良く、キャッチャーの要求通りに投げられている」と手応えを語る。一方で、直球は145キロと自己最速の148キロに届いていない。「後ろで短い回数を投げるなら、もう少し速くしたい」と語る。 
 理想は「使い勝手のいい選手」になること。自身2度目の全国の舞台を前に「出番があれば持ち味のコントロールで失点0に抑える。戦力としてチームに貢献したい」と意気込む。

日本製紙石巻・硬式野球部 全26選手、総力戦へ一丸

 日本製紙石巻は投手11人、捕手4人、内野手9人、外野手2人の計26選手で構成する。前回2017年の社会人野球日本選手権大会にも出場したベテランから、今季新加入した若手まで幅広く在籍する。本大会に挑む全選手を紹介する。

※プロフィルは[背番号]、氏名、(年齢)、出身校、身長・体重
■投手
[11]相内康佑(29)青森大    172センチ・70キロ
[12]生長 蓮(22)桐蔭横浜大  181センチ・70キロ
[13]中島涼貴(29)白鴎大    178センチ・73キロ
[14]登藤 光(26)富士大    184センチ・82キロ
[15]秋田稜吾(25)中部学院大  180センチ・80キロ
[16]塚本峻大(32)東北学院大  177センチ・81キロ
[17]小寺智也(24)近畿大    181センチ・83キロ
[18]川合勇気(23)神奈川大   182センチ・90キロ
[19]鈴木楓汰(19)横浜高    177センチ・75キロ
[20]平間優希(23)青森中央学院大181センチ・90キロ
[21]星野健太(24)山梨学院大  177センチ・80キロ
■捕手
[22]坂口雅哉(23)仙台大    173センチ・88キロ
[23]佐藤晃一(25)中央学院大  174センチ・85キロ
[27]水野隼翔(31)桐蔭横浜大  180センチ・80キロ
[29]小林尚真(23)松本大    172センチ・75キロ
■内野手
[1] 今野瑞暉(22)青森大    181センチ・82キロ
[3] 宮川将平(25)帝京大    177センチ・77キロ
[4] 杉山雄哉(25)桐蔭横浜大  175センチ・78キロ
[5] 末武雄貴(30)近畿大    175センチ・78キロ
[6] 小野悠介(33)東日本国際大 176センチ・86キロ
[7] 中嶋政弥(33)大阪学院大  182センチ・90キロ
[8] 丹呉響平(23)創価大    180センチ・88キロ
[9] 橋本優哉(31)桐蔭横浜大  168センチ・80キロ
[10]東本将弥(27)神奈川大   176センチ・86キロ
■外野手
[2] 金井涼太(24)桐蔭横浜大  170センチ・74キロ
[28]小林俊輔(23)立正大    175センチ・84キロ

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