女川2号機 13年ぶり再稼働 3市町首長の反応
東北電力女川原発2号機の再稼働を受け、石巻地方の首長らはいずれも「安全対策の徹底を」と東北電に要望した。重大事故に備えた避難道の早期整備を求める住民の声については、自治体レベルでは対応が難しい-などとして「引き続き国への協力を求めていく」との姿勢を示した。
女川町長、一問一答
<安全努力、より一層>
-再稼働したことの受け止めは。
「原発は重要なベースロード電源だが、安全性の重要度はそれを上回る。東日本大震災時、女川原発は現場が手順通りに原子炉を守る作業をしてくれたから原子力災害は起こらなかった」
「13年という時間はやるべきことをやるのに必要な年数だったと感じる。ゴールではなく、これがスタートになる。安全への努力を一層求める」
-原発と町づくりの関係性をどう考えるか。
「他の自治体に車や半導体の工場があるように、原発も地域の中にある一事業所だ。『原発があるから成り立つ』ではなく、引き続き基幹産業の水産業や観光業を中心に、小さな町でも若年層が就労したいと思える業種を応援していく。町としてのオプションは多い方がいい」
-能登半島地震では道路の寸断などが相次ぎ、原発の広域避難計画の実効性が揺らいだ。
「地震や津波は原子力災害のトリガーになりやすい。国や県、町の計画が連動している。自治体レベルで解決することではない。屋内退避の課題や避難道路の強靱化(きょうじんか)は国に申し入れている。反映できるものは反映してほしい」
-女川原発3号機の再稼働については。
「再稼働への動きがまだないので話をする段階ではない。東北電の2号機への向き合い方や地域に対する姿勢などが判断材料になる。注視していきたい」
(聞き手は大谷佳祐)
石巻市長「情報提供、積極的に」
立地自治体の一つで、女川原発30キロ圏の人口が最も多い石巻市の斎藤正美市長は「安全第一での稼働を強く望む。全ての人が一つになって安全対策の徹底に取り組んでほしい」と述べた。
再稼働に向けた安全対策工事の過程では、敷地内での作業員の交通死亡事故や硫化水素による中毒事故といったトラブルがあった。「事故やミスが積み重なると、軽微なものでも『またか』となる」と話し、東北電に安全最優先の姿勢と市民目線に立った丁寧な情報提供を求めた。
重大事故時の広域避難計画の実効性向上や避難道路整備は道半ばだ。「避難対策は今後も住民の皆さんと協議して進める。計画は改良すべき所は改良したい」と強調。「(立地自治体は)エネルギー政策に協力している。国には、われわれが望む施策への理解と協力を求めたい」と話した。
東松島市長「UPZ支援拡充を」
市の広域が原発から5~30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る東松島市の渥美巌市長は「安全対策を万全にしてもらうのが第一」と安全の徹底を求めた。
市はこれまで、重大事故を想定した避難訓練での負担などを理由に、UPZ自治体への財政的な支援の拡充を主張してきた。
県が再稼働時に国から受け取れる交付金をUPZ自治体に配分しない方針を示していることに対して「県への不満が関係市町に生じていることは事実」と語り、「東北電力や県、国には(財政的な)配慮を求める」と今後も働きかけを続ける意向を示した。
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- ・わいどローカル編集局 > 鮎川・大原(石巻市)