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女川2号機が再稼働 被災原発、沸騰水型で初 来月発電、12月営業運転へ

 東北電力は29日、女川原発2号機(女川町、石巻市)の原子炉を起動した。東日本大震災後初めて、被災地に立地する原発が再稼働した。過酷事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)としても初めて。東北電は11月の発電再開、12月中の営業運転開始を目指す。

運転員がスイッチを操作し、原子炉を起動する作業の映像が報道陣に公開された=29日午後7時ごろ、東北電力女川原子力PRセンター

 2号機中央制御室で午後7時ごろ、原子力規制委員会の担当者が立ち会う中、運転員がスイッチを操作し、原子炉を起動。燃料集合体を収めた原子炉内から、燃料制御棒137本を段階的に引き抜く作業に着手した。

 樋口康二郎社長は「震災で被災したBWRで初の再稼働で、震災からの復興につながるとともに、電力の安定供給やカーボンニュートラルへの貢献の観点からも大きな意義がある」との談話を出した。

 東北電は11月7日にも発電を再開する予定。原子炉をいったん停止して再び起動する作業や最終的な検査などを経て、12月の営業運転開始を見込む。

 女川原発は震災で基準地震動を超える揺れに遭い、1~3号機が自動停止した。約13メートルの津波が襲い、2号機原子炉建屋の地下が浸水。外部電源の一部が停止した。

 東北電は2013年12月、原子力規制委に新規制基準への適合性審査を申請。3段階の審査のうち20年2月に基本設計を示した「原子炉設置変更」が許可され、21年12月に詳細設計に当たる「工事計画」、23年2月に運用ルールを定めた「保安規定」がそれぞれ認可された。

 安全対策工事は13年5月、海抜29メートル、総延長約800メートルの防潮堤整備に着手。原子炉格納容器の破損を防ぐフィルター付きベント(排気)や、外部電源の喪失に備えたガスタービン発電設備などを新設した。完了したのは今年5月で、計約5700億円を投じた。

 再稼働に向けては、20年9月に女川町議会と石巻市議会、10月に県議会が再稼働を容認。村井嘉浩知事は女川町長、石巻市長との協議を経て11月、同意を表明した。

 福島第1原発事故後、国内では西日本を中心に立地する加圧水型軽水炉(PWR)の計12基が再稼働している。

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