2024衆院選・宮城4区 新区割り決戦の背景(下) 伊藤陣営 裏金「無関係」も通らず
全国に吹き荒れた自民党派閥の裏金問題を巡る逆風は、宮城4区も直撃した。衆院選が投開票された10月27日午後8時過ぎ、対立候補の当選確実が伝えられると、自民前議員伊藤信太郎(71)=公明推薦=の事務所は落胆に包まれた。(敬称略)
10選を果たした立憲民主党の前議員安住淳(62)がテレビに映し出される中、伊藤は「私の力不足」と集まった支持者に頭を下げた。約3万7000票の差を付けられ、比例復活もかなわなかった。
■完全に読み外す
伊藤は公示前「自民党への逆風はあると思うが、自分への逆風は感じない」と語った。裏金に無関係だったからこそ、先頭に立って党改革を進めると胸を張った。
読みは完全に外れていた。選挙戦が始まると、自民支持層の5割しか固められていない情勢が明らかになった。「支持者であることが恥ずかしいとも言われる」。選対本部長を務めた参院議員の桜井充(68)らは、業界団体への働きかけを強めるなど立て直しを迫られた。
■野党批判強める
最終盤には、党本部が裏金問題で非公認とした候補側に2000万円を支出していたことが発覚。劣勢に追い打ちをかけ、与党の過半数割れの可能性が現実味を帯びた。陣営は安住や野党への批判を強め、党の大物議員も次々投入したが、結果は大きく水をあけられた。
ただ、敗因は逆風だけではなかった。新たな区割り確定後の2年半、地道に旧4区を歩いた安住に対し、伊藤は相手地盤に足掛かりをつくれなかった。直前まで務めた環境相の公務にエネルギーを費やしたことを挙げて、悔やんだ。「選挙区に帰って有権者に訴える時間が足りなかった」
◇
4区に立候補した日本維新の会新人の佐藤雄一(45)は、若年層と無党派層の取り込みを狙うも前議員の厚い壁に阻まれた。
れいわ新選組新人の大林正英(60)も地盤のない土地で政治改革をうたったが、票の掘り起こしはかなわなかった。
(及川智子)
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