秋の褒章 職務精励、公益貢献に栄誉 石巻地方3人、喜び語る
2024年秋の褒章が2日付で発表された。石巻地方からは、その道一筋に励んだ人への黄綬褒章に2人、公益のために貢献した人への藍綬褒章に1人が選ばれた。喜びの声を聞いた。
黄綬褒章(業務精励・港湾建設業)
■津田海運社長 津田真栄美さん(60)=石巻市あゆみ野2丁目
「大変ありがたい。父母、社員、取引先や業界を含む皆さまのおかげ。感謝しかない」と語る。
港湾建設業がメインで内航海運も手がける。18歳で入社し、東日本大震災直後の2011年9月に、一代で社業を拡大させた父栄吾郎さんから社長を継いだ。
震災の津波で石巻市門脇町2丁目にあった本社が被災し、自宅も甚大な被害を受けた。子ども2人を守りながら会社の復旧・復興作業を指揮。「与えられた仕事をやっていくのみだった」と振り返る。紆余(うよ)曲折を経て、17年に石巻市のぞみ野に移転、新築した。
業界を取り巻く状況は厳しいが「国土保全のためにこれからも尽力していきたい」と決意を新たにする。
黄綬褒章(アーク溶接工・卓越技能)
■宮富士工業・生産部工場長 高橋茂男さん(60)=石巻市真野
「信じられない思いだ。日ごとに喜びと、名誉ある章の重みを感じている」と受章を謙虚に受け止める。
溶接の道を歩んで約40年。県溶接技術協議大会の優勝は4度を数え、全国大会で上位に名を連ねたこともある。卓越した技能を持つ業界の第一人者として、昨年には「現代の名工」にも選出された。
「いい同僚と巡り会い、互いに競争することで技術向上につながった。一人では決して選ばれなかった」と周囲に感謝する。
「今後は後輩に技術を伝承していきたい」と言い、県内の工業高での指導にも取り組む。自身も終業後に練習を重ねるなど、日々の研さんを怠らない。「溶接は難しいから面白い」と仕事への誇りを語った。
藍綬褒章(更生保護功績)
■保護司 阿部求さん(76)=女川町小乗1丁目
「驚いたが、光栄だ。仲間の保護司や家族などの支えがあったからこそ長く続けられた」
女川町職員だった2000年、保護司をしていた同僚に誘われ、活動を始めた。
社会復帰を目指す対象者に心を開いてもらえるように努力した。何度も向き合って一緒に考え、支えていくことに尽力した。
印象に残っているのは東日本大震災。町内で活動していた保護司仲間が犠牲になった。阿部さん自身も被災し、仮設住宅で暮らしている間は面接ができず、他の保護司の協力により続けられた。
「罪を犯しても立ち直るための取り組みがあることを伝えていく。地域で見守る環境づくりを望みたい」
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