きょう「世界津波の日」 石巻・伝承館で企画展 命を守る行動、江戸時代に学ぶ
5日は国連の定める「世界津波の日」。では、なぜこの日に制定されたのか-。その由来を説き明かす企画展が、石巻市のみやぎ東日本大震災津波伝承館で開かれている。制定のきっかけとなった江戸時代の大地震にまつわる逸話に光を当て、災害時に自らの命を守る行動や心構えを来館者へ発信する。
展示は「世界津波の日」の日付の由来となった故事「稲むらの火」の解説を中心に据える。故事に登場する浜口梧陵(ごりょう)という実在の人物や、制定に向けて開かれた国連の会議、世界の津波被害などを15枚のパネルで紹介する。
「稲むらの火」は、1854年の旧暦11月5日に発生した安政南海地震にまつわる逸話。当時、和歌山県広川町には夕暮れの地震後に津波が襲来した。地元の豪商・浜口梧陵は田に積まれた稲束(稲むら)に火をつけ、暗がりの中で高台へ避難する道を示し、村人の命を救ったとされる。
パネルでは、地震後に浜口が私財を投じて造った堤防の効果や、地元で120年以上続く伝承行事にも触れる。館の解説員による紙芝居「稲むらの火を消すな!」も定期開催される。
企画展がスタートした10月23日に和歌山県から訪れた農業北川翔大さん(34)は「(故事は)子どものころに教科書で学んだ。展示を見て、勇気ある行動で守られた命があるとあらためて感じた」と話した。
伝承館を運営する石巻市の公益社団法人「3.11メモリアルネットワーク」が企画。担当スタッフは「故事は、想定を越えた状況への備えを私たち自身が心がける必要があると示唆している」と強調。「展示が一人一人が自らの命を守る行動につながってほしい」と語った。
企画展は12月1日まで。紙芝居は毎週日曜日午後1時半。11月24日のみ午後2時半。問い合わせは伝承館0225(98)8081。
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