女川2号機、原子炉停止 計測機不調 発電再開は延期
東北電力は4日午前8時36分、再稼働したばかりの女川原発2号機(女川町、石巻市)の原子炉を停止した。原子炉に入れた計測機器が動かなくなるトラブルが3日発生し、原因調査を行う。同日予定していた発電再開は延期した。現時点で調査期間や原子炉を再び起動させる時期は分からず、12月25日までに移行予定だった営業運転は遅れる可能性が浮上した。
2号機は東日本大震災で停止し、10月29日に13年7カ月ぶりに原子炉を再起動した。運転7日目で原子炉停止する異例の事態。東北電で今回と同種の機器でトラブルが発生したのは初めて。事故による周辺環境への放射能の影響はないという。
東北電によると、原子炉内の中性子を計測する「中性子検出器」を調整中にトラブルが起きた。検出器が正しく計測しているかどうかを確認する「校正用機器」を炉内に送り込んだ際、四系統のうち一つの機器が動かなくなった。
動かなくなった校正用機器は手動で取り出し、原子炉格納容器外にある遮蔽(しゃへい)容器に回収した。稼働前の検査では正常に機能していたという。
東北電は3日午後8時30分、石巻営業所で緊急記者会見を行った。女川原発の鈴木邦章技術統括部長は「安全を最優先するには停止した上での点検が一番適切だと判断した。原因を調査したい」と説明した。
女川原発2号機は10月29日午後7時、原子炉を起動。30日午前0時12分、核分裂が安定的に継続する「臨界」に到達した。原子炉で発生した蒸気を供給し、タービンを今月1日午後8時46分に起動。3日にタービンと発電機をつなぎ、発電を再開、送電する予定だった。
当初は7日の発電再開を予定していたが、タービン起動後に振動を抑える調整が不要になったため、3日に前倒ししていた。
【解説】
女川原発2号機が4日、機器トラブルのため、再稼働からわずか6日動かしたばかりで原子炉を止めざるを得ない状況になった。
2号機は過酷事故を起こした東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)。東日本大震災の被災地の原発として初めて再稼働した。準備に万全を期したにもかかわらず、トラブルが起きた。震災で運転停止が続いた「13年7カ月の空白」に伴うリスクが顕在化した形だ。
「空白」に伴う不安要素の一つは、技術者の習熟度不足。原発技術者約500人のうち稼働時を知るのは約4割に過ぎない。13年の停止が機器の不具合を招く可能性も懸念されていた。
原子炉を止めて行う点検調査では、今回のトラブルの原因が単純な機器の不具合なのか、背景に人的ミスがあるのかが焦点になる。当初、7日に予定していた発電を準備作業が順調に進んだとして3日に前倒しした影響はなかったか。
東北電は「安全確保を最優先に、一つひとつのプロセスにしっかりと対応する」と慎重姿勢を強調する。
動き出したばかりの原発が停止し、立地地域の住民の不安は増大した。住民の不安を常に意識し、より丁寧な対応が求められる。(大谷佳祐)
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