子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(18) うちのトットちゃん 登園嫌い、寄り添い克服
【石巻市・柴田礼華】
今月5歳になるわが家の長女あま音。ほとんど目が見えなくなった祖母の手を取ってトイレに案内してあげたり、食いしん坊仲間の祖父とおやつを奪い合って食べたり、おかげさまでそれなりに優しく、それなりにわがままに成長しております。
昨年4月に幼稚園に入園した彼女。第2子を出産する母と初めて離れて過ごしたことや、幼稚園入園という人生の一大事を二つも立て続けに経験し、一般的に言われる「赤ちゃん返り」が顕著に表れました。
私から離れるのを極度に怖がり、私が車の運転席から降りて彼女を助手席に迎えに行く一瞬の間に泣き叫んだり、爪かみやおもらしなどの心身症状も見られるようになりました。認知症を発症している義母が、あま音のかんしゃくに耐えらず「いいかげん泣くのはやめなさい!」と大声でどなるので、ますますヒートアップすることもしばしば。私もいたたまれません。
■泣きぬれる毎日
入園前はあんなに楽しみにしていた幼稚園生活を楽しむどころか、毎日泣きぬれる日々です。お迎えバスにも数回しか乗れずにリタイア。こんなに迷惑をかけるなら退園した方がいいのではないかと思った時期もありましたが、なぜ行きたくないのか根気強く尋ねると「恥ずかしいから」とのこと。決して幼稚園自体が嫌いになったわけではないようなのです。
夫とも話し合い、退園するかどうかは赤ちゃん返りが続くといわれる半年先まで待ってみようと決め、担任の先生にも面談で相談させてもらいました。
まずは幼稚園に行く習慣をつけるために朝、親も一緒に登園して、出席シールを張る練習から始めました。最初の頃はすぐに「帰りたーい」と泣いていましたが、たまにお友達の遊びにまじってみたり、ある日は「先生、用事があるので帰ります」と自ら申告したり。運動会もお遊戯会も出る側でなく、見る側で参加した1年でした。クラスのお友達からすると、毎朝現れてはすぐ帰っていくヘンテコな存在だったことと思います。
こんなに気むずかしくて繊細で、この先やっていけるのだろうか…と心配していた頃、たまたま黒柳徹子さんが少女時代の体験をつづった「窓ぎわのトットちゃん」を読む機会がありました。恐らく中学生以来ぶりに読んだのですが、当時とは全く違う印象で「なんだ、うちの子と同じじゃないの」と感じる場面が多々あり、なんとなく、そのうち収まるところに収まるさ…と思えるようになりました。
さて、うちのトットちゃんですが、今年4月、年中に進級してから突然、ほぼ毎日幼稚園に通うようになりました。理由はいろいろあるみたいですが、一言でいうと機が熟したのでしょうか。
■信じてくれた父
元教育者の義父は、われわれ夫婦のしつけにいろいろ思うところはあったと思います。子どもの将来のために家庭できちんとしつけることが当たり前だと考えている義父にとって、子どもの気持ちを優先して本人に選択させるやり方は、わがままを容認しているように見えていたのではないかと思います。
昔の義父は高校に1人はいる、おっかない生徒指導の先生だったそうです。しかし、恐らくぐっと我慢して口を出さずに1年間信じて見守ってくれました。感謝です。
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