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未来への希望、ベンチに描く 渡波小6年生が制作体験 復興支援のウリン材活用

将来の夢や目標をベンチに書き込む児童

 石巻市渡波小(児童312人)で10月31日、東日本大震災の復興支援で提供された木材を使ったベンチ作り体験があった。6年生54人が座面の取り付けに挑戦し、仕上げに児童それぞれが将来の夢を書き込んだ。未来への希望が詰まったベンチが出来上がった。

 大阪府の木材輸入会社「林田順平商店」などが協力。児童は同社などの約20人のスタッフから工具の使い方を教わり、耐久性の高い木材「ウリン」に電動ドリルで穴を開け、ねじで座面を固定した。座面がきれいに並ぶよう気を配り、座り心地を良くしようとやすりがけに汗を流した。

 その後、一人一人が将来の夢や目標をペンで書き込んだ。「体操選手」「メイクアップアーティスト」「ゲーム実況者」など、児童の思い描く未来がベンチをカラフルに彩った。

 保育士への憧れをイラストに込めた阿部藍さん(11)は「優しくて、子どもをちゃんと叱れる先生になりたい」と話した。定食屋を開く夢がある門馬遙真さん(12)は「渡波に店を持ちたい。大人になったら学校に来てベンチを見てみたい」と語った。

 同社は2013年から、ウリン材のベンチを市内の小学校に寄贈している。林田元宏社長(63)は「子どもたちは年々明るくなっているようで、元気をもらえた。誰かに支えられた経験を次世代につないでほしい」と話した。

 児童の木工体験事業は17年に始まった。東松島市の木工工房「木遊木」や東北6県のエクステリア(建物の外構)事業者グループも毎年協力している。ベンチ作りは10月30日に石巻市大街道小、31日に同市万石浦小でも行った。

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