政宗の使節派遣、外交とは サン・ファン館リニューアル、平川館長が記念講演
石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)のリニューアルオープン記念講演会が17日、同施設であった。館長の平川新さんが「平和外交使節としての支倉常長-慶長遣欧使節と新時代」と題し、新たな貿易を開拓しようとした仙台藩祖伊達政宗の外交、当時の世界における日本の位置付けなどについて語り、県内外から訪れた約80人が耳を傾けた。
平川さんは、政宗が使節派遣によってスペイン領メキシコとの太平洋貿易に乗り出した経緯を説明しながら、スペイン国王らに送った書簡を読み解いた。
政宗がスペイン政府に提案した「申合条々」は、スペイン語で平和協定と訳された。協定を表す「Capitulaciones」には降伏という意味もあり、同政府は政宗がキリスト教を受け入れ、スペイン国王の臣下になると受け止めたという。
政宗は同政府に貿易をもちかけながら、江戸幕府の了承を受けて宣教師の派遣を要請。キリシタンになるのは領民に任せるとも伝えていた。このため同政府は、渡欧した支倉常長にローマ市民権や貴族の称号を与えるなど歓迎した。
その後幕府は禁教令を強化し、キリスト教布教を足がかりに進出しようとしたスペインなどを切り捨て、貿易の可能性は消えた。それでも政宗が行ったダイナミックな積極外交は、日本の国際関係史で画期的な出来事だったという。
平川さんは「常長が日本に戻った後、キリスト教政策がどうなったのかも知ってほしい。長崎や天草だけではなく、県内にも多く殉教地があることも伝えていきたい」と話した。
講演後には質疑応答もあった。サン・ファン館は10月26日にリニューアルオープンした。
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