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女川原発差し止め控訴審あす判決 避難計画踏み込むか、焦点 一審は実効性触れず

 東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の重大事故を想定した広域避難計画に実効性がないとして、石巻市の住民が東北電に再稼働差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が27日、仙台高裁で言い渡される。昨年5月の一審判決は計画の中身に踏み込まずに請求を棄却した。高裁が実効性の有無に判断を示すのかが焦点となる。

 原告側は一審から避難計画の実効性に争点を絞った。重大事故発生時は避難車両で渋滞し、想定通りに避難できないなどと計画の問題点を数多く指摘。避難によって無用な被ばくを強いられ「住民らの人格権が侵害される危険性がある」と主張した。

 一審判決は実効性の有無に触れず、原告側の訴えを退けた。運転差し止めには、重大事故が起こる具体的危険性を原告側が立証する必要があると説明し「実効性の個別の争点を判断するまでもない」と結論付けた。

 控訴審では、原告側は引き続き避難計画の実効性に争点を限定。高裁は昨年10月の第1回口頭弁論後の進行協議で、当時の裁判長が避難計画の実効性の判断に踏み込む考えを示した。審理途中で交代した裁判長らがこの方針を引き継ぐかが注目される。

 原告側は、避難計画は重大事故の発生を前提に策定されており、原告が事故発生の危険性を立証する必要はないと主張。避難退域時検査場所の開設や避難に使うバスの手配もできないなど、計画の実現性のなさを改めて訴えた。

 東北電側は、原告側が重大事故発生の危険性を立証する必要があると主張。「計画は段階的避難を前提としており、避難は可能」「国の原子力防災会議で合理性が確認されている」などと反論した。

 原発事故の避難計画を巡っては2021年3月、水戸地裁が日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)に関して、避難計画の不備を理由に運転差し止めを命じた。

 女川原発は東日本大震災で被災し、全3基が停止。東北電は2号機再稼働に向けて13年12月に原子力規制委員会に申請し、20年2月に新規制基準適合性審査に合格した。立地自治体の同意や安全対策工事完了などを経て今年10月に再稼働した。

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