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郷土愛と自然、歌い継ぐ 「北中ソング」、手彫りの歌詞板完成 石巻

完成した歌詞板の前で、合唱を披露する北上中の生徒ら

 石巻市北上中(生徒48人)の2021年度全校生徒が作詞・作曲に取り組んだ合唱歌「輝(ひかり)~ふるさとを照らして」の歌詞板が完成し6日、同校で住民らに披露された。学校独自の合唱歌は「北中ソング」として親しまれている。在校生は板を彫る作業を通じ、先輩たちが歌詞に込めた自然豊かな景色や仲間への思いを受け継いだ。

 歌詞板は縦1.8メートル、横3.6メートル。10センチ四方のシナ材に歌詞を1文字ずつ彫刻刀で刻み、600枚を組み合わせた。3月から3年生を中心に作業を行った。

 市の補助金を活用し、北上地区の住民自治組織「みらいパートナーズ・きたかみ」と学校運営協議会も協力。全校生徒に加え保護者、住民など総勢100人以上が携わった。地元の木工店「相内木工」が仕上げを担い、昇降口前ホールの校歌歌詞板隣に掲げられた。

 6日の披露式には住民や保護者が集まり、全校生徒が歌詞板前で北中ソングを合唱した。

 式で前生徒会長の3年阿部蓮さん(14)は、北上川やヨシ原などの学校周辺の原風景、仲間との友情を描いた歌詞について「時間をかけて彫ったからこそ、北上の良さを思い出して誇りを胸に歌い継いで」と後輩たちに呼びかけた。

 北中ソングの誕生当時は、学校アンケートで地元に誇りを持っているとの項目で否定的な回答が多かったという。音楽制作を通じて古里を見つめ直そうと当時の音楽教諭の指導で生まれた歌は、生徒らに愛され、現在は朝会や生徒会行事などで校歌よりも身近に歌われている。

 現生徒会長の2年武山愛莉珠(ありす)さん(14)は、式後の取材に「歌をきっかけに北上の豊かな自然を広く知ってもらい、地域が活性化してほしい」と話した。

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