閉じる

2024ニュース回顧 取材ノートから > 学生、石巻でインターン 複数企業をまとめて体験

石巻グランドホテルで就業体験する学生ら=8月29日

<若者の地元就職、後押し>

 地方にとって人口減少、特に若者の流出が深刻だ。東日本大震災後、人口減少が加速する石巻地方最大の課題でもある。若者の地元就職や産業人材の確保に関心があって、県が主催した新事業を今夏取材した。

 県内の複数企業のインターンシップ(就業体験)を短期集中で実施し、地元就職につなげる「みやぎむすび『つめあわせインターン』」で、8月26~30日、石巻市内で行われた。

 参加した学生たちは震災からの復興に関連したさまざまな業種の仕事を体験し、実際に働くイメージを膨らませ、復興の現状をプラスイメージで捉えていた。

 事業は、学生の東京を中心とした県外流出が進む中、県内企業への就職促進につなげる狙い。石巻でインターンシップができるコースは、県内各地で実施した全4回の第2弾で、県内外の学生10人が石巻観光協会や石巻商工信用組合、水産加工会社「布施商店」など7社を回った。

 29日はそのうち5人が同市千石町の石巻グランドホテルを訪問。客室など館内を見学し、あいさつやお辞儀の仕方といったビジネスマナーを学んだ。レストランでは接客も体験し「いらっしゃいませ」とあいさつして利用客を出迎えた。

 ホテルの小野寺夢津子専務は「学生たちは意欲的でポテンシャルが高い。希望を持って、なりたい自分になってほしい」とエールを送った。

 28日は三陸河北新報社で整理記者から新聞の編集作業について説明を受けたほか、街中で「石巻の魅力発見」をテーマに取材して記事を書く体験もした。

 同市出身で東北学院大3年佐伯ゆめさん(20)は「視野が広がり、仕事に対する思いも深まった。石巻は震災からの復興が魅力だと感じた。漁業も就職の選択肢として考えたい」と語った。

 「石巻は被災地の負のイメージが強かったが、力強く前を向いているポジティブな印象を持った。防災分野の仕事に就きたい」。復興の現状に関心があって応募した茨城県出身の宇都宮大3年杉山翔さん(20)の感想も印象に残った。

 被災地にとっては学生が地元企業への関心を高める契機となったようだ。

 少子高齢化で生産年齢人口が減少し、地方から未来を担う若年世代が流出していく傾向に歯止めをかけたい。若手の就労、定着に向け、賃上げや働きやすい職場づくりが求められている。(浜尾幸朗)

関連リンク

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ