三陸が舞台、映画「サンセット・サンライズ」17日公開 出演の中村さん、半海さんに聞く
気仙沼市などでロケした菅田将暉さん主演の映画「サンセット・サンライズ」(17日公開)に、女川町出身の中村雅俊さん(73)と石巻市出身の半海一晃さん(66)が出演している。2人は石巻高の先輩、後輩でもある。中村さんは井上真央さんの父親で漁師の役、半海さんは井上さんが勤務する町役場の上司役。2人に役への取り組み、撮影の苦労話などを聞いた。(久野義文)
中村雅俊さん 漁師の役が似合う?
漁師の役は俺には合わないんじゃないかと思っていた。自分で見ても、客観的に見ても漁師っぽくないので、できるかなと思っていた。岸監督も同じような不安があったらしい。
最初にひげを伸ばして会った時に「いいですね」という感じになり、頭にタオルを巻いてみたら監督からOKをもらった。
一番の苦労は、意外にも方言だった。宮城出身なので宮城弁はできると思い、方言指導を付けなかったが、これが過ちだった。ネーティブな方言を使えなかったというところが反省点である。
主役の菅田君、娘役の真央ちゃんを見ていて、やっぱり才能があるなと感心した。
この2人だけではなく、最近の若い方はみんな才能があると思う。お芝居をしても、歌を歌っても最初から一定のレベル以上のセンスを持っている。
同じ石巻高出身の半海くんとの絡みがなかったのは残念だ。
半海一晃さん 真央ちゃんの上司役
気仙沼市唐桑町での撮影は2年前の夏だったかな、とにかく暑かったのを覚えている。撮影自体は3日か4日間くらいだったけど暑さとの闘いだった。
僕の役は村役場に勤めていて、街おこしに一生懸命に取り組む真央ちゃんの上司役。いじめる役ではない、念のため。彼女を優しく見守るおじさん。
中村先輩は真央ちゃんと一緒に暮らしている。ひげを伸ばした先輩の漁師役が意外にも似合っていた。
菅田君とは以前、舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(2017年)で共演したことがあったが、あの時よりも一回りも二回りも俳優として大きくなっていた。人間として成長していた。都会からやって来た釣り好きの自由人を伸び伸びと演じていた。彼に部屋を貸すのが真央ちゃん。
地元の人たちにはお世話になった。エキストラで出てくれたり、弁当を作って持ってきてくれたり、感謝しかない。
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映画「サンセット・サンライズ」は、「移住」をテーマに東京から「お試し移住」したサラリーマンと三陸で生きる住民との交流、人々の力強さや温かさをユーモアたっぷりに描いたヒューマンコメディー。自分に正直に人生を楽しもうとする主人公・晋作の生き方が、立ち止まっていたみんなの運命をも変えていく。
楡周平の同名小説を原作に、脚本を書いたのは宮藤官九郎(栗原市出身)。監督は「正欲」(2023年)で第36回東京国際映画祭最優秀監督賞と観客賞を受賞した岸善幸(山形県最上町出身)。東北出身の2人が新型コロナウイルス感染症拡大による自主隔離や地方の空き家問題を織り込みながら、新しい幸せの「カタチ」を伝える移住エンターテインメント。
出演は晋作役に菅田将暉、彼に自宅の離れを貸すのが百香役の井上真央。2人を取り巻くのが中村雅俊、半海一晃、小日向文世、池脇千鶴、三宅健ら。
17日からイオンシネマ石巻(石巻市茜平4丁目)で公開。
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