巳年に輝く 挑戦2025 > 日本製紙石巻硬式野球部・生長蓮さん(石巻市)
<東北圧倒できる投手に>
昨年、制球力と多彩な変化球を武器に、新人ながら全国の舞台で先発投手を2度務めた日本製紙石巻硬式野球部の生長(いきなが)蓮さん(22)。社会人野球の頂点を決める7月の都市対抗野球大会1回戦(東京ドーム)、福岡市代表のKMGホールディングスを5回1失点に抑え、2013年大会以来の初戦突破に貢献した。
182センチの左腕は今季に向け「東北で圧倒できるような投手になる」と力を込める。
カーブ、縦と横2種のスライダーなど変化球を軸に試合を作った。ツーシームも採り入れて投球の幅が広がり、安定感が増した。社会人として成長した実力を全国舞台で発揮した。
11月の日本選手権(京セラドーム大阪)では課題を突き付けられた。優勝した愛知県のトヨタ自動車戦で先発し、初回に5点を奪われた。変化球を見切られ、四球を取られた。「初球からストレートを投げられれば-」。直球の質や速度、変化球に頼る癖…反省点は多い。
直球の最速は145キロ。トヨタ戦は142キロ前後と、思うように投げられなかった。今季は得意の変化球を生かすためにも常時140キロ台後半を出すことを目指す。
元々プロ志望で、ドラフトを見据える。
石川県白山市出身。桐蔭横浜大(横浜市)在籍時には挫折を味わった。1年夏の新人戦で左肘靱帯(じんたい)を損傷。2年時に再建手術を受け、4年秋に復帰した。4球団から調査書を受け取っていたが、ドラフト会議で自分の名前が呼ばれることはなかった。
同じ大学で同期だった古謝樹投手は昨季、プロ野球・東北楽天にドラフト1位で入団。1年目から5勝を挙げ、刺激を受けた。
初めて踏み込んだ社会人野球の世界は「大人が本気で戦い、泣いたり笑ったりするのは新鮮で充実していた。楽しい1年だった」と振り返り、「プロに行けなかったからこそ味わえた経験だ」と前向きに捉える。
プロ野球選手になる夢は変わらない。「プロに行くのは(日本製紙に)恩を返してから。都市対抗で昨年よりもいい景色を会社の人に見せる」。応援してくれる同僚や石巻地方の人々のため、プロの夢を実現するために、日本製紙での活躍を誓う。
「『投手と言えば生長』と言われるような選手になる」と口元を引き締めた。
(相沢春花)
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