石巻・雄勝地区中心部唯一の商店、歴史に幕 日用品など買い物支える
石巻市雄勝地区の道の駅「硯上の里おがつ」に入る「もんまや商店」が7日、閉店した。半世紀以上にわたって住民に親しまれ、東日本大震災後も地域の買い物を支えてきた。日用品や食料品を扱う地区内では貴重な存在だったが、新型コロナウイルス禍や物価高騰のあおりを受け、惜しまれながら店をたたんだ。
店は地区中心部で唯一の商店で、食料品や生活用品、地元の海産物などを販売してきた。高齢化が進み、移動販売に頼る住民が増えたほか、復興工事の終了で客の減少に拍車がかかった。コロナ禍や物価高も響き、閉店を余儀なくされた。
5年ほど前に体調を崩した店主の父に代わって店に立つ門間利太(とします)さん(55)は「あと1年、あと1年とやってきたが、見通しが立たなくなった。体が動く限りは続けたかった」と話した。
利太さんによると、店は曽祖父が約70~80年前に開業。震災前に上雄勝地区にあった店舗は津波で流失した。仮設商店街などで営業を続けた後、2020年5月にオープンした道の駅内の雄勝観光物産交流館「おがつ・たなこや」のテナントに入った。
最終日の7日、店には多くの住民が訪れ、名残惜しそうに最後の買い物をした。市雄勝診療所の職員で地元出身の杉山裕美さん(39)は「子どもの頃は店の向かいに住んでいて、初めてのおつかいもした。思い出の場所なので本当にさみしい」と語った。
店は今後、交流館内の直売所の一角を借り、海産物の委託販売に移行する。
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