巳年に輝く 挑戦2025 > 彩クルー代表・日妻ちえみさん(石巻市渡波)
<不要陶磁器を装飾品に>
東日本大震災の復興支援から生まれた手業が受け継がれ、地域に根付く。
石巻市渡波下榎檀に昨年8月開業した陶磁器アクセサリー工房「Hikari Crew」〔彩(ひかり)クルー〕の代表を務める。
「前身の希(のぞみ)プロジェクトで学んだ技術の継承と、本来の役目を終えた陶磁器に新たな命を吹き込む仕事に魅了され創業した」
希プロジェクトは、復興支援に携わるため、神戸市から同市渡波に移住した宣教師高本スーさんが2012年に設立。地元女性らを雇用し、陶磁器アクセサリーを製造、販売した。事業は23年12月で終了した。
彩クルーは、希プロジェクト設立当初からのメンバーである勝又恵美さん(45)=同市須江=との2人。市民の厚意で寄付された陶磁器を手作業で削り、アクセサリーに変身させる。
不要になった陶磁器に新たな価値を与え、アクセサリーにアップサイクルする事業は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)につながる取り組みだ。
「陶磁器の性質はそれぞれ違うので、性質に合わせた削り方で商品を生み出す。日々作業しながら研究し、互いに技術を向上させている」
24年はネックレス(4500円)、ピアス(4000円)をメインに製造、販売した。男性客が増え、タイピンなど男性向けの商品もそろえた。来店者の特典として好きな陶磁器で作れるオーダーメード商品も店頭価格で扱っている。
公式オンラインショップも昨年12月に開設した。25年は県内外の百貨店で販売する戦略を描く。「外国人観光客も利用する百貨店に納品して彩クルーのオリジナル商品の良さを見てもらい、販路拡大につなげたい」と意気込む。
創業2年目、商品の魅力発信と認知度アップ、売り上げ増が課題となる。
「売り上げが順調に推移し経営が落ち着いてきたら、子育てや介護で時間に縛られる女性が働きやすい職場として迎え入れて、徐々に技術の継承をしていきたい」
(浜尾幸朗)
関連リンク
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