笑顔と命守る場に 支援施設・みらいはうす石巻 一時預かり、親の相談も
![](https://kahoku.news/images/2025/01/09/20250109khn000004/001_size4.jpg?timestamp=20250212104523)
保護者の事情で一時的に養育できなかったり、緊急の預かりを必要としたりする子どもや親の支援施設「みらいはうす石巻」が、石巻市稲井地区で本格的にサービスを開始した。子育て支援事業を展開する京都市の一般財団法人が開設した。施設の代表を務める阿部由子理事(52)は「制度から漏れてしまう子どもや保護者をすくい上げられる場所にしたい」と意気込む。
0~15歳ごろまでの子どもを対象に、日中~午後10時の預かりに取り組む。虐待やドメスティックバイオレンス(DV)など緊急性のある事案にも対応し、必要があれば宿泊を伴った預かりも可能。保護者の状況に応じ、カウンセリングや学校、病院への送迎に加え、母子家庭手当の申請など公的な手続きのサポートも行う。
施設は木造2階建て7LDKの一軒家をリフォームして活用。子どもの遊び部屋をはじめ、保護者やスタッフとだんらんするフリースペース、滞在者用の寝室などを設置。緊急で避難してきた親子や、静かに過ごしたい子どものための部屋もある。
スタッフは保育士や看護師ら有資格者を含む計7人。いずれも子育て経験者で、保護者の多様な相談にも応じる。阿部理事は「大変な境遇の親にとって、いきなり行政を頼るのはハードルが高い。気軽に助けを求められるクッションの役割を果たしたい」と言う。
阿部理事は市内の認可外保育園で代表を務めるほか、里親としても活動する。主に児童相談所から委託を受けて乳幼児の預かり養育に取り組むが、「少しの間だけ預けるのに『里親』なんてと、周りの目を心配する親もいる」と指摘する。
施設は昨年12月にオープンした。今後、1回につき7日間の「宿泊ステイ」も始め、受け入れ態勢を強化する方針。虐待を受けている子どもが直接相談できる24時間体制のLINE(ライン)も開始を目指す。市内外の里親が交流し、情報交換できる場づくりも見据えている。
阿部理事は「子どもがありのまま愛される居場所をつくりあげ、笑顔と命を守る。リスクが高くなる前に寄り添うことで、本当に子育てに優しいまちを目指したい」と語った。
施設は京都市の一般財団法人「サウンドハウスこどものみらい財団」が開設。財団は子どもを支援する任意団体やNPO法人、個人などの活動を助成金で後押しする。自主事業として「みらいはうす」を熊本県内と石巻市で展開している。
みらいはうす石巻は、年中無休、24時間体制でオープンしている。連絡先は080(3321)3698。
関連リンク
- ・炎囲み、無病息災祈る 20年目「裸参り」 石巻の市民有志、市街地練り歩く
- ・放水アーチに防災願う 出初め式 石巻地方3市町・消防団
- ・へび年の成長誓う 石巻地方で始業式 女川は小中合同で
- ・石巻で子育てしながら「住み続けたい」、小学生の保護者3割 市、調査結果報告
- ・考えよう地域交通 > 第1部・生活の足は今(6) 識者に聞く まちと一体で再考を