獅子振り、浜の邪気払う 石巻・寄磯地区、伝統190年の正月行事

石巻市寄磯地区で2日、約190年続く正月行事の獅子振りが行われた。地元の男性ら十数人が地区の住宅や神社など25軒ほどを巡り、邪気を払って家内安全、大漁を祈願した。
20~40代男性でつくる互助組織「実業団」が主催。訪れた家々で獅子を演じる4人が笛や太鼓の音と男性3人のはやしに合わせて舞を披露した。
獅子振りを迎えた漁師平間光昭さん(59)の自宅では、孫の阿部凜ちゃん(4)が「怖かった」とおびえた表情を見せた。凜ちゃんの母で、平間さんの長女美悠さん(28)は「自分も幼い頃は泣いていた。獅子振りが入ってきた流れで宴会が始まる光景は東日本大震災前と変わらない」と懐かしそうに話した。
獅子振りは江戸時代の天保飢饉(ききん)の頃に始まった。同市の離島・網地島で働いていた岩手県の大工が二つの獅子頭を制作。その一つを寄磯浜の民が譲り受け、今に引き継がれている。
新型コロナウイルス禍前は獅子振りの後、子どもたちが七福神の衣装を着て舞い踊る「大黒舞」があった。コロナ禍で中止していた獅子振りはおととし再開したが、少子化で大黒舞は行われなくなった。
実業団の団長渡辺元宏さん(46)は「担い手は減る一方だが、今後もできる限り続けたい」と話した。
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