被災した古里、芝居で元気に 俳優・芝原弘さんに聞く 3月に朗読劇「石巻編」
東日本大震災後、被災した古里・石巻市を「芝居の面白い街」にしようと、演劇仲間をけん引してきた俳優芝原弘さん(42)=仙台市=。2025年は震災伝承演劇で活動の幕が上がる。意気込みを聞いた。(聞き手・久野義文)
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-今年も2月23日、市民参加型の震災を題材にした芝居「いのちのかたりつぎ」(一般社団法人三陸まちづくりART主催)がある。
「ほぼ毎年、命の尊さや防災の大切さを、いくつかの芝居にして届けてきた。歌やダンスもあり、震災のことについて考えるきっかけになってきた」
「子どもら市民と一緒に私たち俳優がつくりあげるところに意義がある。震災から14年がたとうとしており、震災を知らない、記憶がない世代が育っているだけに『いのちのかたりつぎ』が果たす役割は大きい」
-公演に向けて26日から小学生以上が対象の歌やダンス、芝居を楽しく学ぶワークショップが始まる。
「2月23日の成果発表まで、日曜ごとに開く。これまで石巻中心部の施設で開いていたが、初めて市営門脇東復興住宅の集会所を使う。より地域に寄り添うことで一人でも多くの住民が見に来てくれれば」
-ワークショップ関連イベントとして新たな取り組みもある。
「今月19日、震災伝承交流施設MEET門脇で語り部の話を聞いたり、近くの震災遺構を見学したりする。その後、集会所で感じたことなどを話し合う。『いのちのかたりつぎ』への理解が深まればと思う」
-昨年は、仙台市東部沿岸地域を題材に、震災伝承を目的にした朗読劇「伝える・繋(つな)ぐ・そして未来へ」に出演した。今年はその石巻編に関わる。
「仙台を拠点に演劇企画を手がける東北えびすが主催し、実際に俳優たちが仙台の東部沿岸に足を運び、住民への取材と交流を重ね、それを基に朗読劇を作った。新たな手法による語り継ぎが関心を呼んだ」
「今度は石巻編を作ろう-となり、今月から調査を始める。2月に台本を完成させ、3月22日に震災遺構の門脇小で上演する」
-3月1、2日に東松島市震災復興伝承館で公演する「逢わせ鏡-陽炎-」では演出に回る。
「東松島のボーカリストでマルチアーティストのSAKUYA.さんの脚本による朗読劇。彼女の震災前後の体験にフィクションが織り交ぜられている。『生と死』を紡ぎたい。これからも宮城、石巻の演劇人として震災と向き合い、伝承活動に関わっていきたい」
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演劇ユニット「コマイぬ」代表でもある芝原さんは2月8日、月いちよみ芝居を開催。仙台スクールオブミュージック&ダンス専門学校講師として3月13、14日のアクターコースの朗読公演では構成・演出を務める。俳優・演出家として25年も石巻地方の演劇を盛り上げる。
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