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女川3号機、地質調査 再稼働に一歩 2027年以降審査申請へ 東北電

地質調査の実施を決めた女川原発3号機(手前)。左奥が2号機、右奥は1号機=2024年10月
3号機で実施する地質調査の概要を説明する女川原発の鈴木技術統括部長(左)ら

 東北電力は16日、女川原発3号機(女川町、石巻市)の原子炉建屋周辺で地質調査を実施する方針を明らかにした。3号機の再稼働に向け、原子力規制委員会への審査申請への動きが明らかになるのは初めて。早ければ今月20日にも調査に着手し、2年程度の期間で審査に必要な地質データの拡充を図る。昨年10月に再稼働させた2号機に続き、地質調査などを経て、3号機の運転再開に向けた準備を本格化させる。

 調査は3号機の原子炉建屋の真下や周辺計3カ所でボーリング調査を実施。地表から約50メートルの深さまで掘削し、6本の断層について調べる。採取した試料は顕微鏡などを用いて、断層破砕部の性状や地質、構造を確認する。

 東北電によると、新規制基準では、原子炉建屋などの耐震重要施設について「将来活動する可能性のある断層など」の活動による「変位(ずれ)」が生じない地盤に設置することが求められているという。

 原発敷地内の断層は約1億年前に形成された古い断層のため、現時点では活動性はないと判断しているが、今回の調査でより正確なデータを集める。

 16日に石巻市役所で記者会見を行った東北電は規制委への申請時期について、地質調査終了後になる見通しを示した。順調にいけば2027年以降が見込まれる。

 会見で女川原発の永井志攻土木課長は「3号機の設計時から調査がされていて問題はないが、安全を最優先にやっていくのに変わりはない。早まるということはないだろう」と説明。鈴木邦章技術統括部長は「地質調査や安全対策工事など、やれることを一つずつ行っていく」と語った。

 女川原発は2号機が昨年10月に13年7カ月ぶりに再稼働し、検査や調整運転を続けた。東日本大震災の被災地に立地する原発が再稼働したのは初めてで、過酷事故を起こした東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型炉(BWR)としても事故後初の再稼働となった。

 震災発生時、女川原発は1、3号機が営業運転中で、2号機は原子炉の起動準備中だった。地震の揺れで全3基が自動停止した。

 東北電は2号機の再稼働に向け、防潮堤の整備など安全対策工事を進め、昨年12月26日に10年11月に定期検査のため停止して以来、14年ぶりに営業運転を再開したが、3号機は停止したままになっている。1号機は廃炉作業が進んでいる。

 東北電は3号機で、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウラン燃料を混ぜたMOX燃料を利用するプルサーマル発電を計画している。

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