石巻市「こどもまんなか」宣言1年 権利の保障・意見聴取・居場所づくり、一層推進
石巻市が子ども・子育て施策の推進に向けた「こどもまんなか」宣言をして、21日で1年がたった。子ども家庭庁が子どもや子育てを社会全体で支えようと進める「こどもまんなかアクション」を受け、市は子どもの権利の保障推進などを柱に掲げて取り組みを進めてきた。市の1年間の動きを振り返る。(漢人薫平)
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宣言は「子どもを生み育て、住み続けたくなるまち」の実現を目指すもの。それまで力を入れてきた「子どもの権利の保障推進」「子どもの声や意見の聴取・発信」「子どもの居場所の拡充」を3本柱に掲げ、取り組みをさらに強化した。
市は宣言を踏まえ、年度内に策定する市こども計画(第3期市こども・若者未来プラン)に、子どもや若者、関係団体などの意見を反映する方針。2025~29年度を計画期間として、当事者の声を取り入れた施策につなげる。
策定に当たって市は昨年、地元の小中高生と39歳までの社会人17人でつくる「こども・若者委員」を初めて設置した。委員は同8月、意見交換のワークショップでまとめた要望を斎藤正美市長らに発表。子ども世代にも呼びかけられたパブリックコメント(意見公募)などと共に計画に盛り込まれる。
市子育て支援課の担当者は「初めての取り組みだったが、当事者と一緒に計画を作るための良いプロセスを踏めた」と振り返る。
権利の保障推進については、子どもの権利を分かりやすく学べるテキスト作りを進める。本年度は新たに小学生対象の3種を作成。既存の中学生向けテキストと共に、2月上旬にも市内全校へ配布する。
子どもの権利を巡っては、市は2009年、県内で初めて「市子どもの権利条例」を施行した。市が昨年実施したアンケート結果によると、子どもの権利についての認知度は小学5年・中学2年が57.1%、大人世代は平均で約65%だった。子ども家庭庁による全国調査の結果を、いずれも10%以上上回った。
市の担当者は「制定当初はいかに考えを浸透させるかが課題だった。東日本大震災後に子どもの権利を柱に活動を続けてきた団体もあり、定着の一因になったと考えられる」と分析する。
子どもの居場所の拡充に向けては、市内の関係団体と懇談会を開催。情報共有や意見交換を重ね、官民の連携を強化している。子どもの声を基に23年度からは移動児童館事業を実施。新年度は開設回数の増加を目指す。
担当者は「宣言により市としての行動方針が明確に表明でき、民間団体との協働につながった。宣言をして終わりではなく、今後も取り組みを一層推進していく」と語った。
「権利意識、施策の土台に」ベビースマイル石巻・荒木裕美代表理事
市の「こどもまんなか」宣言は、地域の子どもを取り巻く環境にどんな影響を与えているのか。東日本大震災後に子育てのNPO法人ベビースマイル石巻を発足し、市子どもセンター「らいつ」で館長を務める荒木裕美代表理事(46)に現状や課題を聞いた。
◇
-らいつや団体の活動を通して宣言の影響を感じるか。
「宣言が後押しになり、行政と民間が共に『こどもまんなか』の実現へ動こうとする意識を強く感じられた1年だった。市が姿勢を明文化し、多くの人に資することとして裏付けしてくれた意義は大きい。子どもにとって一番いいことを考える意識が施策の土台に入ったと言える」
-子どもの権利への認知は広がったと感じるか。
「らいつの利用者アンケートでは『らいつは子どもの権利を大事にしている場所だ』という声が聞かれるようになった。自分は大事にされていると感じてくれている。自己中心的だった子が他者を尊重できるように成長した姿を見ることもあり、心の中で啓発できたと感じる」
「権利は地域全体でも尊重されなければいけない。らいつで実施する、子どもの意見を集めて政策提言につなげる『まきトーーーク』のような取り組みが全市的に広がるといい」
-子どもの意見をまちづくりに取り入れるために重要なことは。
「行政で実現できないこともあるが、例えばまちづくり会社や交通会社など声を届ける先を変えれば可能性はある。普段から子どもの身近で意見を拾える私たちが『共に考えよう』と企業に伝えることが求められている。声を受け取る大人の中にも子どもの権利への意識があれば、実現できることがあるかもしれない」
-子どもの権利を大人に意識してもらうには、どんな取り組みが必要か。
「親を大事にすることが子どもを大事にすることにもつながる。例えば子育て世代。現代では、出産後に当事者同士や相談者とのつながりを作る機会が少ない。長期的、伴走的に相談できる人がいれば子育てにも余裕ができる。児童館や子ども食堂など多様な年代がいる場所で、親自身が他者と関わりながら育っていく機会が増えてほしい」
-子どもの居場所づくりの現状は。
「子どもは友達の家や外で集まって遊びたい。一方で、大人側は安全面や学習面の心配から、放課後児童クラブなど管理された場所で宿題をしてから遊ぶのが最善と考えている。『こどもまんなか』では親の気持ちに寄り添いつつ、子どもの権利を根底に置いてフラットに考える必要がある」
「市内には気軽に毎日利用できる場所が少なく、人材も不足している。市にはそんな居場所や運営する人材を担保する取り組みを次のステップに据えてもらいたい」
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