石巻圏域、44万人泊目標に 第6期みやぎ観光戦略プラン 県、最終案まとめ
県は、4月から3年間で取り組む「第6期みやぎ観光戦略プラン」の最終案をまとめた。2027年の宿泊観光客数の目標を、過去最多だった19年の989万人泊(延べ宿泊者数)を約1割上回る1104万人泊に設定した。石巻圏域では44万人泊を目標値に掲げ、23年(速報値)の42万人泊からの増加を目指す。
県全体の宿泊観光客数の目標は、23年(943万人泊)を161万人泊上回る。外国人観光客宿泊者数は、過去最多だった19年(53万4000人泊)の2.2倍の120万人泊とした。
観光消費額の目標は過去最高だった19年(3989億円)の約3割増の5300億円。1人当たりの消費単価を初めて設定し、日本人が2万9000円、外国人が7万9000円を見込む。目標の達成に向けて(1)魅力ある観光資源の創出(2)観光産業の活性化(3)観光客受け入れ環境整備の充実(4)国内外との交流拡大の促進-の四つの取り組みを進める。
石巻圏域では、施策の方向性として(1)宿泊観光客数増加に向けた滞在型・周遊型観光の推進(2)インバウンド(訪日客)獲得に向けた観光資源の磨き上げ(3)交流人口・関係人口の拡大に向けた地域間交流の推進(4)地域一体となった観光振興の推進-の四つを柱に据えた。
滞在型・周遊型観光の推進を図るため、地域の独自性や特色を最大限生かした「石巻圏域ならでは」の観光プログラムを開発する。東日本大震災の記憶の伝承や復興の歩みを学ぶ復興伝承ツーリズム、地域の新鮮な食材や食文化を生かした食体験ツアーなどを主な取り組みに挙げた。
訪日客獲得に向けては、海外インフルエンサーや交流サイト(SNS)などを活用したプロモーション戦略を展開。石巻圏域の魅力を効果的に海外に発信することで認知度を高め、海外からの観光客誘致を促進する。石巻市の田代島やマンガ文化といった海外で需要が高い観光コンテンツの情報も発信する。
地域間交流の推進では、仙台・松島圏を訪れた観光客に石巻圏域まで足を延ばしてもらうため、2市1町や近隣地域との連携を強化し、広域的な観光ルートの企画や交流イベントなどを実施する。
県内外の地域と積極的に交流・連携し、圏域外でのイベント開催なども企画する。宮城、岩手両県の産金の歴史を伝える日本遺産「みちのくGOLD浪漫(ろまん)」をテーマにした周遊ツアーの開発や、県外での観光・物産展の開催などを想定する。
最終案は1月10日に県石巻合同庁舎であった、県の観光施策を官民で議論する「みやぎ観光振興会議」の第4回石巻圏域会議で示された。県は他の6圏域の関係者らの意見も踏まえ、3月下旬にプランを正式に決定する。
10月以降に導入する宿泊税は、新戦略を進めるために不可欠な財源と位置付ける。県は宿泊税の使い道について事業者から意見を聴く宿泊事業者部会を7圏域ごとに設置する方針で、石巻部会は3月以降に開催する。
石巻圏域会議では、委員から「全国的に高速バスを利用する外国人観光客が増えているが、石巻は生かし切れていない。もっとアピールするべきだ」といった指摘があった。
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