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食品ロス削減、南極に学ぶ 観測隊調理隊員の渡貫さん講話 石巻法人会新春講演会

南極生活について話す渡貫さん
参加者は食品ロス削減のヒントを学んだ

 石巻法人会の新春講演会が1月21日、石巻市千石町の石巻グランドホテルで開かれた。南極地域観測隊で調理隊員を務め「南極シェフ」として知られる渡貫淳子さんが「南極生活で学んだ食材と環境を大切にすること」の題で講演。社会問題となっている食品ロスを減らすヒントを伝えた。

 渡貫さんは青森県八戸市出身。2015年12月から17年3月まで1年4カ月間、第57次観測隊の調理隊員として南極に滞在した。

 講演で、渡貫さんは南極での生活を振り返り「生野菜不足にストレスを感じていた。キャベツはオーストラリアで仕入れたものを生で7カ月食べ続けた。南極では生で野菜を食べられるだけで幸せを実感した」と語った。

 南極では「環境保護条約」に基づいて廃棄物に関する規定が厳しく決められており、ごみは基本的に自国へ持ち帰る必要がある。渡貫さんは「汁物、スープなどの残りはそのまま流すことが許されない。排水を汚さず、ごみを出さないことはフードロス対策につながる」と指摘した。

 帰国してから感じた自身の変化について触れ「スーパーの総菜売り場で消費期限が切れなくても廃棄される商品があることに納得できなかった」と述べた。

 その上で「食材を無駄にしないためには、食品ロスを知ること。日本では年間472万トンが廃棄されている。そのうち43%が直接廃棄で、その一番の理由は消費期限と賞味期限だ」と説明。日常生活で実践している方法として(1)消費期限と賞味期限は自分で決める(2)野菜の根や皮を取り除く時は最低限に(3)料理のリメークを楽しむ(4)在庫から献立を考える-を紹介した。

 また、食品ロスを減らすためのヒントとして「必ず買い物リストを持参する。見切り品をチェックする」とアドバイスした。地産地消が食品ロス削減につながった事例も紹介した。

 講演会には会員ら約130人が参加した。

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