災害ボランティアセンターでのICT活用 県社協、石巻で研修会 方法探る
被災地に設置される災害ボランティアセンター(VC)での情報通信技術(ICT)の導入について学ぶ研修が1月31日、石巻市ささえあいセンターで開かれた。発災時にVCの運営を担う県内各地の社会福祉協議会から約53人が参加。講義や訓練を通し、円滑な支援に向けた活用方法を探った。
研修は県社協が主催。ウェザーハート災害福祉事務所(山形市)の千川原公彦代表が講師を務めた。千川原代表はVC運営について「以前はいかに早く支援を受け入れるかという意識が強かった。近年は感染症リスクの観点から、ICTを活用してボランティアに事前登録をしてもらう体制が広がった」と解説した。
訓練では、受付用紙とスマートフォンの両方でボランティアの登録作業を実践し、所要時間を比較した。参加者全員が必要事項を記入して提出するまでの時間を計測。受付用紙が6分20秒、スマホでQRコードから登録した場合は3分未満だった。
千川原代表は「受付用紙や被災者の支援ニーズを書いた紙は、紛失してクレームが入ったケースもある。ICTを活用すればミスや無駄な作業を減らすことができる。戦略的に使うことが大切だ」と呼びかけた。
訓練を踏まえた意見交換もあり、グループごとにICTの利点や欠点、適切な運用方法を議論した。参加者からは「高齢の支援者はデジタル入力の補助が必要だ」「VCの開設からボランティアの受け入れ、ニーズのマッチングなど、どの段階で導入するかが重要」といった意見が上がった。
石巻市社協からは22人が参加した。職員の作山龍太郎さん(24)は「職員でも年齢層が高い人は登録につまずいていた。組織的にICTを活用する体制を探りたい」と話した。市社協は「災害発生時は各部署がVCの運営に携わる。今後、全職員がICTの基本的な知識や使い方を習得する機会を設けたい」とした。
研修は午前と午後の2部制で実施。午後の部ではICTを活用して被災者の支援ニーズ管理を実践する訓練もあった。
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