学校防災、担い手不足が課題 石巻市教委推進会議 保護者、住民との連携模索
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東日本大震災の教訓を生かして子どもの命を守ろうと、教育現場や石巻市の関係者が意見を交わす市学校防災推進会議が7日、市防災センターで開かれた。昨年11月に実施された市総合防災訓練を受け、学校や地域防災の担い手不足が課題に挙がった。参加者は保護者や住民を巻き込んだ連携体制を模索した。
市教委が主催し、関係者約25人が出席。「防災教育」「防災研修」「防災管理」の3分野に分かれたワーキンググループ(WG)の代表教員が、本年度の事業についてそれぞれ報告した。
防災管理WGは地域防災連絡会の活動状況などを紹介した。市内の全公立幼稚園、こども園、小中高校を対象にアンケートを実施。連絡会運営の課題に関する設問では「防災に対する地域内の温度差」や「学校主導から地域主導型への転換が進まない」「行政の協力体制」「構成員の高齢化」などを指摘する回答が多かったと報告した。
質疑応答では、市総合防災訓練での地域との連携について議論になった。当日は登校日だったため子どもの参加数は確保された一方、保護者は低調だったという。
参加した教員からは「学校としては子どもを通じて保護者に呼びかけるしか方法がない」、「訓練よりスポ少の大会が優先されたケースもある。行政からの呼びかけも必要だ」との意見が挙がった。
東北大災害科学国際研究所の桜井愛子教授は「防災の担い手維持は学校と地域に共通する課題だ。地域の足腰を鍛えるために、学校と行政が協力して取り組んでいく必要がある」と指摘した。
防災研修WGは各校の防災主任や管理職を対象に実施した研修について報告。防災主任は任期内に複数回参加するため、新年度は習熟度別に研修を行う方針が示された。防災教育WGは防災に関する各コンクールの結果などを共有した。
山形大大学院の村山良之客員研究員は「防災訓練で課題をあぶり出すことができた。これ自体が訓練の目的であり、成果だ。どう対処するのか、少しずつでも考えていくことが重要だ」と講評した。
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