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高校生の地元就職促進へ 石巻で産学官会議 職業観など情報交換

 石巻地方の行政や経済団体、教育機関の代表らでつくる石巻地域産業人材育成プラットフォーム会議(事務局・県東部地方振興事務所)が、石巻市あゆみ野5丁目の県石巻合同庁舎で開かれた。出席者は地域の産業に必要な人材の確保や育成、定着を図るための課題を共有するとともに、企業の自助努力や保護者への情報発信の必要性を確認した。

 石巻、東松島両市の産業部や女川町産業振興課、石巻信用金庫、石巻専修大などから会議のメンバー10人が出席。管内の高校生の地元就職促進に向け、高校生の職業観や特徴を把握するための講話を聞き、情報交換した。

 講師の佐々木英一石巻北高就職支援教員は「高校生が就職先を選ぶに当たっては、仕事のやりがいよりも『残業が少ない』『土日は休み』といったワークライフバランスを重視する」と指摘。「コミュニケーションを取るのが苦手で、就職先で社内の人とコミュニケーションが取れなくて辞めてしまうケースも見られる」と語った。

 出席者は企業側が求める人材と高校生の職業観がかみ合わず、地元企業の就職につながっていない現状を認識した。

 情報交換では、石巻公共職業安定所の担当者が高卒者の離職が多い理由を説明。職場内でのコミュニケーションの問題や、就職前の説明会で聞いていた内容と実際の仕事、職場に食い違いがある点などを挙げた。

 出席した石巻市桜坂高進路指導部の担当者は「生徒は学校の中で安心感や居場所を求める傾向がある。企業の見学会に参加して会社の雰囲気が合わないと就職先として選ばない」と述べた。

 石巻商工会議所の青木八州会頭は「人口減少の中で企業側も努力が必要だ。求める人材を確保できず、少ない人数で業務を回していくためには、生産性を向上させるシステムを構築しなければならない」と強調した。

 佐々木氏は「石巻北高では、先輩が不採用になった企業は生徒の応募意欲が上がらない。女子はサービス業、事務職を求める傾向が強いが、管内の求人は少ない」と話した。

 会議は1月23日にあった。

全日制高校9校保護者調査、地元の希望就職先「ない」9割

 石巻地域産業人材育成プラットフォーム会議で、県東部地方振興事務所は、管内の全日制高校9校の全学年の保護者を対象に本年度実施した、子どもの進路に関する意識調査の結果を公表した。

 「就職させたい石巻圏域の企業はあるか」の設問では、「ない」の回答が9割を占めた。石巻圏域の企業への就職に対し、保護者が前向きでない実態がうかがえた。「ある」と回答した人が挙げた具体的な就職先は石巻市役所、東北電力、石巻赤十字病院、河北ライティングソリューションズだった。

 卒業後の進路については「進学してほしい」が73%、「就職してほしい」が19%、「その他」8%だった。卒業後、石巻圏域に就職してほしいかを聞いた設問では「どちらでもよい」が78%、「就職してほしい」は10%、「他圏域に就職してほしい」は12%だった。

 他圏域への就職を希望する理由では「石巻圏域に就職させたい業種・職種・雇用形態がない」の回答が61%で最も多かった。「初任給や福利厚生などの待遇がいい」が22%だった。

 石巻圏域の企業を何社程度知っているかは「1~10社」が67%と最多で、「11~50社」が27%だった。企業情報の収集については「必要な情報は十分得られている」「必要な情報はある程度得られている」の回答は合わせて20%程度にとどまった。

 同事務所は「子どもの進路選択に影響が大きい保護者に対して、石巻圏域の企業の魅力が十分伝わっていない」と課題を指摘した。

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