整備技術「伝えたい」 東松島のオートバイ専門店、後継者探し 継業バンクに登録
東松島市大曲のオートバイ専門店「バイクショップいしのまき」の店主佐々木仁さん(75)=石巻市向陽町1丁目=が、自身の技術を引き継ぐ後継者を探している。整備士として半世紀のキャリアを持ち、県内外の愛好者がその腕を頼って修理を託す。佐々木さんは「培った技術を若い人に伝えたい」と願う。(西舘国絵)

ショップはカワサキモータースのオートバイを扱う。佐々木さんは自動車整備士などを経て、仙台市にあったカワサキの営業所に11年間勤務。新型車種の整備方法を東北の販売店に伝える役割を担った。
40歳を前に独立し、地元で35年以上、オートバイの整備・販売を手がけてきた。特に古い車体の整備技術に定評がある。県外の愛好者が修理できる技術者を探し、50年前のオートバイを持ち込むこともある。
東日本大震災では店に津波が到達し、30台あったオートバイが全滅した。閉店も考えたが、被災直後から常連客らが店の片付けに毎日通い、半年後に営業を再開した。佐々木さんは「『自分の家より大事』とヘドロをかき出しに来るから、やめるにやめられなくなった。閉めるつもりだったのに…」と笑って振り返る。
高齢になり、車の荷台にオートバイを乗せるのにも苦労するようになった。「自分がやめたら古いバイクを直せる人がいなくなる」。市商工会に経営相談をしたのがきっかけで、市が活用する継業支援サービス「ニホン継業バンク」で後継者の募集を始めた。
佐々木さんは「動かなくなったバイクのエンジンが再びかかった時の感動がやりがい。自分の技術を若い人に継いでもらいたい」と語る。
後継希望者は市の地域おこし協力隊員に委嘱され、報酬を受けながら佐々木さんに直接指導を受ける。応募には自動車整備などの経験と、二輪車整備士3級以上の資格が必要。
連絡先は市復興政策課地方創生・基地対策係0225(82)1111。
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