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型はまらぬ作風で魅了 障害者アート展、13施設から520点 28日まで・石巻

 障害者の手がけた芸術作品が並ぶ「わくわくワンダーアート展」が、石巻市中央3丁目の「く・ら・ら美術館」と多目的ホール「どん」で開かれている。陶芸や書、絵画など計520点が集まり、型にはまらない創作が訪れた人々の目を引きつけている。会期は28日まで。

施設利用者たちの個性が発揮された作品と、その魅力を語る黒田館長

 同市の社会福祉法人「石巻祥心会」が運営する事業所の利用者約300人が、本年度に制作した作品を出展した。展覧会に市内の全13施設が参加するのは初めて。作者の顔写真や日常の様子のコメントを併載する展示もあり、作者の人となりをうかがうことができる。

 はにわや動物をかたどった陶芸は、今にも動き出しそうな仕上がり。モチーフが同じでも一人一人違った個性を感じられる。筆で和紙に絵や文字を描く「墨遊び」の作品では、発語に困難のある利用者も創造性を発揮。自由に動かした筆の軌跡が文字にも見える偶然性を楽しめる。

 く・ら・ら美術館の黒田龍夫館長(72)が出展者のアート活動を後押しする。週に5日、画材を携えて事業所を訪問し、制作を見守る。利用者が就労する合間を縫って、一度に支援できるのは2、3人。一つの作品を完成させるまでに同じ施設を複数回訪ねることも少なくない。

 額装など作品の仕上げ作業にも奮闘する。黒田さんは「彼らにとっては色を選ぶだけでも一つの山を越えるような試みになる。作り終われば作品を忘れてしまう利用者もいるが、存在そのものをぶつけたような一枚一枚がすてきだ」と語った。

 展示時間は午前10時~午後4時(最終日は午後3時)。連絡先は黒田さん080(5746)2461。

同じものは一つとしてない障害者の芸術作品が並ぶ

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