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世界防災フォーラム7日から 東松島のサル人形おのくん、「Bosai」発信

おのくんを手にする武田さん(左)とスタッフ。左の2体が世界防災フォーラムの特別デザイン

 東松島市で被災した女性たちが作るサルの人形「おのくん」が、7~9日に仙台市青葉区で開かれる第4回世界防災フォーラム2025(※)の公式キャラクターとして、世界に「Bosai」を発信する。第1回以降公式キャラクターを務めてきたが、東松島市の有志グループ「おのくんプロジェクト」が今回初めて運営に携わる。フォーラムでは世代を超えて防災を身近に感じられる空間を演出する。

 プロジェクトが携わるのは「いんくるーしぶ防災フェスティバル」と題したイベントで、8日に主会場の国際センターに隣接する仙臺緑彩館で開催。帽子のファッションショーや地元アイドルらのステージなどがある。「災害時は人も物もアイデアも持ち寄り」という原点に返り、音楽家やモデル、帽子作家ら全100人以上が無償で参加する。

 おのくんは2017年の第1回フォーラムから公式キャラクターを務めてきたが、従来はブース展示にとどまっていた。

 プロジェクトは23年から、帽子をかぶって防災訓練をおしゃれに行う「防災×帽祭」の活動を展開してきた。帽子をかぶることで得られる気持ちの高揚感や一体感を防災活動に活用した。プロジェクトの共同代表新城隼さん(54)は「防災を非日常で受動的なものから、楽しく自ら取り組みたいものに意識を変革する契機にしたい」と語る。

 おのくんは東松島市の小野駅前仮設住宅で生まれ、これまで約32万体が巣立った。昨年の能登半島地震後は、子どもたちを励まそうと帽子をかぶったおのくん1000体を届けた。

 フォーラムに向け、共同代表の武田文子さん(74)は「こんなに大きな存在になるとは思わなかった」と戸惑いつつ、12人の作り手と共に地道な制作に励む。

 プロジェクトはフォーラムを足掛かりに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成期限の30年までに47都道府県とパリ、ニューヨークで帽子のファッションショーを行い、「Bosai」を発信する計画だ。新城さんは「おのくんを見れば防災を思い出すような存在を目指したい」と意欲を燃やす。

(※)世界防災フォーラム2025:国内実行委員会と国際実行委主催。東日本大震災の被災地から世界に防災情報を発信する。気候変動による災害リスクを減らすための行動の変容がテーマ。大学、国際機関、行政機関などが39のセッション、40のポスター発表、75のブース展示を行い、地震や津波、水害から命や地域を守るための知恵や取り組みを報告、共有する。

世界防災フォーラム2025

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