考えよう地域交通 > 第2部・復興まちづくりと交通 (3)駅を核に 町内移動の在り方模索

東日本大震災で中心部が壊滅的な被害を受けた女川町。復興まちづくりの中心には移転再建したJR女川駅を据えた。周囲に役場や学校、病院、商業施設などの機能を集約し、コンパクトな市街地を形成した。
■町民バスで結ぶ
変容した街の姿に合わせ、町内の移動手段も形を変えた。震災前、町は目的地に「ドアトゥードア」で結ぶデマンド型交通を運行していたが、駅を核にしたまちづくりに合わせ、駅周辺と町内各地を路線で結ぶ町民バスに切り替えた。
現在は10人乗りのワンボックスカーを使い、中心部周辺や半島部を回る5路線、1日計28便を走らせる。31日には出島大橋の開通に伴い出島線も新設される。
「あんた、今日はどこさいくの」。中心部の高台にある災害公営住宅前から1台のバスが出発した。駅や病院、スーパーなどの主要施設を回る間、車内では乗客の世間話が広がる。
2023年の利用者は延べ約2万2000人。21年10月~22年3月に路線や便数を増やして無料で乗車できる実証実験をした効果もあり、21年に比べて約4000人増えた。
利用者の多くは車の運転免許を持たない高齢者だ。バスは被災者や高齢者の外出機会の創出にもつながっている。3年前に石巻市から町中心部の災害公営住宅に移り住んだ佐藤澄子さん(71)は、車内で交友関係を広げたという。「生活の足だけでなく、人と人をつなぐ存在でもある」
■利便性に課題も
町は駅や商業エリアを低地の災害危険区域に配置した一方、住宅地は高台に移した。津波のリスクはなくなったが、住まいの近くに店はない。駅の西約800メートルにある大原地区の災害公営住宅に暮らす元漁師の丹野喜一さん(91)は「高台から歩いて買い物に行くのは大変。土日などバスの走っていない日があるのは不便だ」と改善を求める。
中心部から離れた半島部の利便性にも課題がある。竹浦地区の70代男性は「中心部に行くにも1日3便しかなく、通勤通学でない高齢者には時間帯が早過ぎる。デマンド交通の方が適していると思う」と話す。
人口減少下で町内の移動手段をどう維持するか。町は新年度、官民連携で地域交通の在り方を検討するモビリティ研究会(仮称)を設立する。町民や交通事業者が参加し、持続可能な地域交通の実現を目指して意見を出し合う。
町企画課の鈴木一弘企画調整係長は「現行の運行体制でいいのかを真剣に考える必要がある。デマンド運行への切り替えや小型電動車の導入など、町にとって何が最善かを探りたい」と語る。
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