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命守る教育に生かす 浦和学院高、石巻来訪101回に 1、2年17人が視察

大川小で畠山さん(右)から震災発生時の話を聞く生徒ら=12日

 東日本大震災からの復興を支援し、防災教育を推進しようと、さいたま市の私立浦和学院高(生徒2883人)は震災発生直後から石巻地方を訪れ続け、今月で101回を数えた。被災地での体験や交流を、命を守る教育に生かす。

 101回目の派遣は、1、2年生17人と教職員2人が11日から1泊2日の日程で訪れ、東松島市震災復興伝承館や同市防災備蓄倉庫、石巻市震災遺構門脇小などを視察。12日には石巻南浜津波復興祈念公園で前日にあった追悼式の片付け作業を行った。

 市震災遺構大川小では、元北上中校長で退職後に浦和学院高に勤務した畠山卓也さん(72)=石巻市=の解説を聞きながら、津波で児童と教職員計84人が犠牲になった校舎跡を見学した。

 畠山さんは震災発生直後の避難行動について「すぐ高台に避難しなかったことが悲劇につながった。大人がなんと言っても自分の勘に従って逃げて生きてもらいたい」と訴えた。その上で「一人一人がここで感じたことを誰かに伝えて、未来の命を救ってほしい」と呼びかけた。

 昨年に続いて参加した2年佐々木陸さん(17)は母方の祖父母が石巻市に暮らしており、震災を身近に感じて育った。「少しでも役に立ちたいと思い参加した。自分の身を守る術や備蓄の大切さなど、現地を見て意識が高まった」と話した。

 1年上杉音々さん(16)は「埼玉には海はないが、荒川がある。洪水の恐れがある時には高い場所に避難することを家族と話し合いたい」と話した。

 同高は震災発生直後に被災地支援の対策本部、2013年に「石巻・東松島交流センター」をそれぞれ設置。生徒や教職員、保護者が炊き出しや仮設住宅の掃除、小学校での学習支援や強豪の野球部による野球教室などに取り組んできた。

 生徒たちは研修の成果をまとめ、震災遺構門脇小に展示する予定。

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