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震災前の石巻、物語に 朗読劇「伝える・繋ぐ・そして未来へ」 地元高校生も熱演

俳優の芝原さん(右から4人目)らと地元の高校生らが共演した朗読劇

 朗読劇「伝える・繋(つな)ぐ・そして未来へ~石巻編~」が22日、石巻市震災遺構門脇小であり、地元の高校生らが俳優たちと共演、東日本大震災前の石巻地方の暮らしや民間伝承などを物語にして観客に届けた。

 朗読劇には同市出身で演劇ユニット「コマイぬ」代表の芝原弘さん(43)ら俳優3人と、公募で参加した同市や東松島市在住の4人の若者が出演した。

 台本は、郷土史に造詣が深い本間英一さん(75)=同市門脇町2丁目=から聞いた昔話や震災前の暮らし、食文化、子どもの遊びなどを基にまとめたもので、東松島を拠点にするフルート奏者、岩沢あいらさんの演奏に乗せて上演した。

 海上安全と大漁を恵む仏像として親しまれた雲雀野海岸の「濡仏」や釜地区で栽培し特産となった「釜梨」、子ども会による夏の行事・海水浴など、かつてあった石巻の風景、生活が朗読劇でよみがえった。

 本間さんは「語り継ぐという意味で演劇の持つ力に驚いた」と感心した。

 東松島から参加、出演した千葉みるさん(18)と後藤萌愛さん(18)は今春、高校を卒業したばかり。2人は「伝えていくことの大切さを知った。いつか私たちの古里・東松島の話を朗読劇にできたらうれしい」と声を弾ませた。

 朗読劇は演劇事業を展開する東北えびす(仙台市)の企画で、2021年に仙台市のせんだい3・11メモリアル交流館で仙台編がスタート。今回初めて石巻バージョンを手がけた。

 構成・演出を担当した東北えびすの高橋菜穂子さんは「朗読劇にしたい石巻のエピソードはまだまだたくさんある。第2弾、第3弾と続けられたらいい」と話す。

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