原発立地特措法延長へ 東北の自治体、追加の地域指定模索

 原子力施設の立地・周辺自治体を財政支援する「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」=?=の期限を3月末から10年間延長する改正法が月内にも国会で成立する。特措法の恩恵を受ける自治体の範囲は道府県で差があり、東北で同法の対象地域を持つ青森、宮城、福島の3県では追加の地域指定に関心が高まっている。
(「原発漂流」取材班)

 3県の対象地域は地図と表1の通り。青森と福島は原発30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ、核燃料サイクル施設は1~5キロ圏)はもとより、原子力施設の立地自治体と隣接しない自治体まで広範囲に指定されている。一方、宮城は地域指定当時の立地・隣接自治体(市町合併後は立地自治体のみ)に絞り、UPZ内でも対象外の自治体がある。
 3県の地域指定は、特措法成立から間もない2002年~03年にそれぞれ行われた。青森と福島は「広域で一体的な振興を図る必要がある」として対象地域を選定。宮城は「『対象地域は原則的に立地・隣接市町村』とする国の通達に沿った」と説明する。
 防災インフラ整備や企業誘致への優遇措置がさらに10年続くことが確実な状況を受け、対象拡大を模索する声が出ている。市域の9割がUPZ内にある東松島市の担当者は「他県で広範囲が指定されていることを知らなかった。(追加指定への)関心は非常にある」と強調する。
 青森県では当初指定時、国の原子炉設置許可前だった大間原発地域(大間町、風間浦村、佐井村)が対象から漏れた。県の担当者は「大間地域を追加したい思いはある」と話す。
 特措法を所管する内閣府は「道府県からの対象追加の申請が原子力立地会議で承認されれば、対象地域の拡大は可能」(原子力政策担当室)と、道府県側の判断次第との考えを示す。
 過去10年間の国による負担実績は表2の通り。宮城と福島は東日本大震災後、特措法より補助率が高い復興関連事業でインフラなどの整備を進めたこともあり、近年は特措法に基づく国負担が激減した。
 特措法は議員提案による10年間の時限立法で、前回11年の延長は議員提案で法改正した。今回は政府が「インフラの整備状況を鑑みて支援継続が必要」と判断して再延長を提案した。

[原発立地特措法]2001年施行。都道府県知事の申し出に基づき首相が議長の原子力立地会議で対象地域を指定する。現在の指定地域は14道府県の計76市町村。指定地域では避難道路や避難所などの整備の実質的な負担が13・5%に抑えられ、特定の業種の企業誘致などで減税した場合は減収額の75%が交付税措置される。内閣府によると19年度までの自治体への支援総額は2251億円。

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原発漂流

 史上最悪級の原発事故の発生から2021年3月で丸10年。原子力事業や原発政策の何が変わり、何が変わらないのか。教訓は生かされているのか。改めて検証する。

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