宮城の聖火リレー、走れるの? 「いろんな意味で逆風」 開催まで1カ月

コロナ流行前に開かれた聖火リレーのトーチを展示するイベント=2020年2月6日、宮城県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大で約1年延期された東京五輪の聖火リレーは19日、宮城県での開催まで1カ月となった。感染収束の兆しが見えない中、運営に当たる県は実施の可否を含めて調整に追われる。コロナ下の大会決行には批判も根強く、東日本大震災からの「復興五輪」の体現を目指すランナーたちは、揺れる思いで本番を待つ。

 「悩ましい。あらゆる可能性を想定して準備するしかない」。県五輪・パラリンピック推進課の担当者は険しい表情を浮かべる。

 県内のコロナの感染状況は18日現在、ステージ3(急増)。重視する確保病床使用率が下げ止まり、予断を許さない状況が続く。

 3月25日のスタート地点となった福島県など、一部自治体では沿道に見物人が押し寄せ、至る所で密集、密接の状態に陥った。ひとたび生じた混雑の解消は容易ではない。

 「復興五輪の象徴の宮城が簡単に中止の判断はできない」と、ある宮城県幹部は不退転の決意を示す。県は聖火リレーを実施した各県の対策を分析し、市街地の公道使用の可否、警備の在り方を検討。沿岸部のコースを維持して実行するかを軸にシミュレーションを重ねているという。

 同課の担当者は「世界に復興支援への感謝を伝える重要な場のはずが、いろんな意味で逆風が吹いている」と話し、「日々の感染状況を捉え、柔軟に判断するしかない」と繰り返す。

 ランナーにも割り切れない思いが募る。

 「リレーが近づく『わくわく』と、重症者が増えるのにワクチン接種が進まない現状への不安が交錯している」。走者の大森美和さん(44)=気仙沼市=は、こう心境を明かす。

 五輪中止を求める署名活動の報道を見聞きすると、複雑な感情になる。「100パーセント楽しむ気持ちにはなれない。ただリレーは復興支援への感謝を伝える場。五輪とは別物とも思う」

 「犠牲者への追悼の思いを込めて走りたい」と話すのは石巻市の黒沢健一さん(50)。「沿岸被災地の私たちの姿を発信することで真の復興五輪にする」と意気込む。

 村井嘉浩知事は17日の定例記者会見で「フルか、一部変更か、全部変更か、中止か。あらゆる選択肢がある」と説明。「感染対策を最優先に、各機関と相談しながら総合的に判断する」と言葉を選んだ。

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