震災の記憶、つなぐ炎 東松島の学生語り部ら走る

沿道の応援に応え、手を振る武山さん=東松島市(代表撮影)

 宮城県で2日目となった聖火リレー。東松島市と松島町では、東日本大震災の伝承活動に取り組む市内の学生グループ「TTT」のメンバーらがトーチの炎に思いを託し、駆け抜けた。沿道の住民へ、世界へ。支援への感謝と継承の重要性を発信した。

 「震災から10年を迎えた年に走るのも何かの縁。支援してくれた方への感謝を伝えられた」

 語り部の大学3年武山ひかるさん(20)=群馬県伊勢崎市=は、友人や近隣住民の応援を受け、JR仙石線東矢本駅前を出発。笑顔で手を振りながら実家がある防災集団移転団地のあおい地区を走った。

 大曲小4年で震災を経験。家族と一度は高台に逃げたものの、家に戻ろうとして車内で津波に遭ったが、難を逃れた。自宅は全壊し、避難所を転々として仮設住宅で約5年間暮らした。

 TTTの活動は高校1年の夏、友人の誘いで始めた。「被災経験を伝えることで命を守りたい」と、伊勢崎市の東京福祉大進学後も全国を回り、新型コロナウイルス下ではオンラインを使って活動を続ける。

 精神保健福祉士と保健師の資格を目指して勉強に励む。悩みを抱える子どもの心をサポートする仕事に就くのが目標だ。「知らない人からの応援も多く、うれしかった。これからの活動の力になった」と語った。

 学生メンバーをサポートする札幌市の写真家鈴木貴之さん(49)=東松島市赤井出身=は、宮城県松島町を走った。聖火ランナーに応募したのは東京五輪・パラリンピックの招致段階から掲げられる「復興五輪」の理念に賛同したからだ。

 実家が全壊し、震災直後から古里の復興支援に携わった。「新型コロナ関連の話題が大半を占める中、被災地で頑張る姿を見せることで『震災を忘れないでほしい』というメッセージを改めて発信できた」と力を込めた。

力強い足取りでコースを走る鈴木さん=松島町(代表撮影)

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