ワクチン接種後の長引く体調不良 「支援・理解なく孤立」高校生ら訴え

 新型コロナウイルスのワクチン接種後、半年以上も体調不良が続き、登校もままならない高校生の保護者から窮状を訴える声が「読者とともに 特別報道室」に届いた。取材の結果、理解や支援を得られないまま孤立する現状が浮かび上がった。(武田俊郎)

発熱や倦怠感、頭痛続く

 話をしてくれたのは、仙台市の私立高2年の女子生徒(17)と、東京都の公立高2年の男子生徒(16)の保護者ら。いずれも昨年11月末の本紙記事「ワクチン後遺症、私も」を読んで情報を寄せた。

 仙台の女子生徒は1年時の昨年9月上旬、1回目のワクチン接種直後から発熱や倦怠(けんたい)感、頭痛、腹痛、胸痛が始まった。学校から「(休むと)欠席になる。多少の熱でも授業に出るように」と言われ、37度台の熱があっても登校した。

 欠席日数分の課題を提出するなどして留年は免れたが、2年になった今も「起き上がるのがやっと」の日が多いという。母親(47)は学校にオンライン授業などの対応を求めたが、「設備が整わない」などの理由で断られた。

 東京の男子生徒は昨年9月に2回目のワクチン接種後、激しい頭痛が始まり、登校できない状態が続く。さまざまな検査を受けたが異常は見当たらず、最終的に都内の病院で「ワクチン接種後の後遺症疑い」と診断された。

 治療法がなく、鎮痛剤を服用して日々しのぐ。母親(51)は「息子は大学進学を望むが、体調が万全でない中、自習だけで受験は難しい」と、学校側に学習支援を求めている。

「各校に一任」

 都道府県教委は文部科学省の通知に従い、ワクチン接種後の不調による欠席は「出席停止」扱いにするよう各校に指示している。

 ただ、不調を訴える生徒への具体的な支援方法は「各校に一任するしかない」(宮城県教委高校教育課)のが現状。出席停止は不登校の調査対象外でもあり「県内で該当する生徒の実態把握も難しい」(同)という。

 私立高の場合は自治体が指導方法などに介入できない事情もあり、私立高生は孤立を深めやすい環境にある。女子生徒の母親は「『ワクチン後遺症』が医学的に認められなければ社会的支援は得にくい。個人で対応するのは限界があり、このままでは希望がない」と訴える。

名古屋市が開設した相談窓口の様子。長期不調は徐々に認知されている=7日、愛知県看護協会(市提供)

認識進み対策の動きも

 新型コロナウイルスワクチン接種後の長期不調は政府も存在を認め、対策を検討しつつある。専門の相談窓口を設ける自治体も出てきた。

 名古屋市は3月25日、「ワクチンの長期にわたる副反応」に悩む人向けの電話相談窓口を開設した。河村たかし市長は同28日の記者会見で、市医師会などと協力しサポート体制を構築したと説明。「(過去の)薬害(のよう)にならないよう、しっかり対応したい」と利用を呼びかけた。

 市によると、相談に対応する愛知県看護協会の専用回線には、初日から今月4日までに335件の相談が寄せられた。主な症状(複数回答)は関節痛や頭痛などが206件、発熱や倦怠感などが97件と、これまで本紙に声を寄せた多くの人たちの症状と共通する。

 国会でも議論の対象となり始めた。8日の衆院厚生労働委員会で、後藤茂之厚労相は「(ワクチン接種後の)遷延する症状について報告されていることは承知している」と長期不調の存在を認めた。

 その上で「都道府県が診療体制を整備し、相談窓口を周知する中で、専門的な医療機関での診療の蓄積で新たな知見が得られることを期待する」と答弁した。

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る