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小中学校2学期制、宮城で主流に 3学期制も根強い支持 どちらがいいの?

2学期制に移行した亘理中。宮城県内では3学期制からの切り替えが進む

 宮城県内11市町の教育委員会が2022年度、小中学校の3学期制を2学期制に切り替えた。2学期制の採用はこれで県内35市町村教委のうち25教委と7割を超え、東北6県で突出して多い。宮城では2学期制が主流となる一方、3学期制を支持する声も根強く、「正答」のない状況が続く。

22年度は11市町が切り替え

 亘理町教委は22年度、小中全10校が2学期制に移行した。夏休みを4日間短縮し、10月に2日間の秋休みを設定。21年度に小中各1校で試行した上で本格導入した。

 亘理中(生徒426人)の橋元伸二校長は「授業時間が増え、学力向上につながる。教員の事務作業も軽減され、授業や教材研究、部活動に力を注げる」と歓迎。亘理小(児童631人)の大沼毅校長は「7月や12月も目いっぱい授業をしたり、行事を入れたりできる」と期待する。

 河北新報社が県内各教委に聞き取ってまとめた採用状況は表の通り。

 利点について2学期制は「通知表の回数が3回から2回に減り、教員の働き方改革につながる」との見方があった。3学期制には「児童生徒が長期休み前に受け取る通知表を踏まえ、休み中に課題に取り組める」といった声が上がった。

 一方、欠点に関し2学期制には「通知表が減り、学習の動機付けに苦労する」、3学期制は「学期が短く、評価が難しい」などの指摘が出て、それぞれの一長一短が浮き彫りになった。

 2学期制への切り替えが相次ぐ背景には、小学校に20年度、中学校に21年度に導入された新学習指導要領がある。「主体的・対話的で深い学び」を掲げ、自ら課題を見つけ級友や先生と議論し、問題を解決する学習を求めている。そうした学びには、じっくりと時間をかけられる2学期制が適しているとの判断だ。

 新型コロナウイルス下の一斉休校で学期の区切りが曖昧になったことや、他自治体との横並び意識も理由になったとみられる。

 全国的には3学期制が依然として主流だ。文科省の直近の調査(18年度)によると、2学期制の採用割合は小学校で19・4%、中学校で18・6%。2000年代前半から増加傾向を示したが、中学校は09年度(23・0%)、小学校は11年度(21・9%)をピークに減少に転じ、3学期制回帰とも言える傾向が続く。

 宮城県内で3学期制を続ける市町のうち大和町教委は「季節ごとに目標を段階的に設定し、成長を実感できる」、利府町教委は「学期ごとの委員会や係活動で、多くの児童生徒に役割を与えられる」と強調する。
(庄子晃市)

[2学期制と3学期制]2学期制は1年間を前期と後期に分け、秋休みを設ける。3学期制は夏休みや冬休みを区切りに三つに分ける。1998年の学校教育法施行令改正で市町村教委が独自に学期を決められるようになった。2学期制は、2002年度の学校週5日制完全実施を受け、授業数の確保やゆとり教育を目的に全国で導入が広がった。

決め手なし、悩む市町村 県教委は評価避ける

 宮城を除く東北5県で2学期制を導入する自治体は最多の青森でも4割に満たず、岩手のように市町村立ではゼロもある。3学期制が少数派になった宮城の現状を、教育行政に関わる人々はどう見ているのか。

 宮城県教委義務教育課の担当者は「市町村教委が地域の実情を踏まえて決めるもので、県教委はどちらが良いかを言う立場にない」と評価を避ける。

 宮城教育大教職大学院の本図愛実教授(教育制度・経営)は「児童生徒の学習や生活態度などに関し、きめ細かい評価が可能かどうかがポイントになる」と指摘。「保護者に説明できる根拠で児童生徒の伸びや意欲を測るには学期が長く、一人一人の様子をじっくり見られる2学期制に分がある」との立場だ。

 一方、女川町教委は2002年度に2学期制に移行したが、13年度に3学期制に戻した。脱ゆとり教育や県立高の前期後期方式の入試実施など移行当時と状況が変わったことが理由だ。2学期制では猛暑の8月後半も授業が多く、健康への懸念も判断材料になった。

 3月まで町教育長を10年間務めた村上善司さん(70)は「子どもの学びのために何が大切かという視点が重要。教育を取り巻く環境は時代とともに変わり、2学期制か3学期制かを選ぶ決め手はない。悩ましい問題だ」と実感を込める。

 (この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました)

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