「リスクのない場所はないと受け止めて」 宮城・津波浸水想定

 宮城県が公表した最大級の津波の浸水想定で、東日本大震災時に浸水しなかった地域や震災後にかさ上げされた市街地に被害が及ぶ可能性が示された。有識者検討会で座長を務めた東北大災害科学国際研究所長の今村文彦教授に要点を聞いた。
(聞き手は報道部・柴崎吉敬)

東北大災害科学国際研究所長 今村文彦教授に聞く

 -最悪の条件下での想定をどう受け止めるべきか。

 「最新の知見を踏まえ、災害の『想像を上回る』部分を減らすためのもの。震災時の浸水範囲が最大とは限らず、その後のまちづくりが完全に安全だとも言えない。住民は思い込みを持たず、津波対応の一番高い目標と捉えて避難場所を確認するなど備えてほしい」

 -想定の特徴は。

 「浸水範囲は三陸沿岸に比べ、仙台平野側の石巻、東松島両市などで震災時からより広がるとみられる」

 「想定図では第1波や最大波の到達時間を示した。津波の襲来状況を正しく知り、対策に役立ててもらおうと工夫した。徒歩での避難が厳しい一部地域では、車避難の効果的な運用を検討する必要もあるだろう」

 -かさ上げされた市街地や行政庁舎の浸水も見込まれる。

 「安全と思っていた地域だけに住民らにはショックもあるだろうが、リスクのない場所はないと受け止め対応を考えてほしい。行政庁舎は災害時の司令塔として機能を維持しなくてはならず、将来的には浸水想定域外への移転が望ましい」

 -沿岸自治体に求められることは。

 「津波対策は、時間や費用がかかる中長期的なものと短期間でできるものを整理して進めることが大切。避難場所にフェンスを設けるなど、浸水しても命を守る暫定的措置を取ることはできる。気象庁の警報レベルに応じた避難対象エリアの設定も自治体間でばらつきがあり、再検討が必要だ」

 「肝心なのは、避難の主体は住民との意識付け。学校教育で地域と協力し防災や避難態勢を考えることは人材育成にもつながる。行政が問いかけることで、できることや課題を住民や企業自ら探してもらいたい」

[いまむら・ふみひこ]東北大大学院工学研究科博士後期課程修了。同大災害制御研究センター教授などを経て2014年4月から現職。専門は津波工学。山梨県出身。60歳。

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