県都・青森市に機能不全の懸念 津波被害想定、大半の庁舎が浸水

被害想定で1・9メートルの浸水が予想される青森市役所本庁舎

 死者2万1000人-。青森県が20日に公表した津波による被害想定で、青森市が県内40市町村で死者数が最も多くなる可能性が示された。陸奥湾に面する県都は、漁業や港湾事業で栄えた歴史的な背景から行政機関も海に近い場所に集積する。想定では大半の庁舎が浸水し、司令塔が機能しなくなる懸念もあり、関係者は対策の見直しに迫られている。

 同市の想定は図の通り。主要な行政機関で最も浸水するのは青森港から200メートルに位置する青森署で3・7メートル。県警本部、県庁、消防本部なども2、3メートルの津波が到達する恐れがある。

 1・9メートルの浸水が想定される青森市役所は、2019年に新庁舎が完成。浸水対策として、3階に96時間運転可能な非常用発電施設を設けるなど防災機能を強化した。

 ただ、東日本大震災で想定以上の津波が襲った沿岸部の自治体では、庁舎が被災し、機能不全に陥った経緯がある。市危機管理課の佐々木正幸課長は「予想を明らかに超える津波が押し寄せた場合は、山手に災害対応の拠点を設けられるよう準備を進める必要がある」と話す。

 県庁は庁舎機能を失った場合、浸水想定区域外で海岸線から約4キロ南の県総合社会教育センターに災害対策本部を移す。県警は浸水想定を踏まえ、警察署の代替庁舎を新たに選定する方針だ。

 青森市では、1960年のチリ地震津波でも市沿岸に1メートルを越す津波が到達したが、死者はいなかった。津波に対する市民の警戒感は薄く、備えが十分とはいえない。

 八戸工業大の武山泰教授(土木計画学)は「津波に対する危機感よりも利便性を重視し、街が形成されてきた。新想定は都市機能を見直すきっかけだ」と指摘する。

 その上で「ハード面は多額の費用が悩みの種になるが、国が行う都市構造の再編事業を利用すれば最大で建設費が半額補助される。将来的に浸水想定区域外に防災センターを核とした副都心をつくる手もある」と強調する。

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