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開設30年以上の仙台・桜ヶ丘駐在所が閉鎖方針 「安全脅かされる」住民反発、反対署名提出へ

閉鎖の方針が明らかになった桜ケ丘駐在所

 仙台市青葉区桜ケ丘地区の住民から「桜ケ丘駐在所が閉鎖される。子どもが多く、安全が脅かされる」との声が「読者とともに 特別報道室」に寄せられた。宮城県警は取材に約2キロ離れた荒巻交番に統合する方針を示したが、住民の反発は強く、近く反対署名を県警に提出する異例の動きとなっている。

「絶対に反対」声相次ぐ

 「子どもたちの安全が脅かされる。絶対に反対だ」。16日にあった桜ケ丘学区連合町内会の定期会合では、参加した住民から反対の声が続出した。

 桜ケ丘駐在所は地区人口が増えた1986年に開設された。現在の勤務体制は平日午前8時半~午後5時で、住み込み1人を含む2人が担う。管轄は桜ケ丘1~9丁目で約9500人が暮らす。

 桜ケ丘小中学校のほか、宮城学院女子大や付属の高校、中学、こども園が点在する文教地区でもある。日中、地区にいる園児や児童ら子どもの数は約5300人に上る。

 駐在所員はこれまで学校の防犯イベントなどを通して、地域と顔の見える関係を築いてきた。桜ケ丘学区連合町内会の酒井典雄会長(82)は「駐在所の存在が犯罪の抑止力になってきた」と強調する。

 住民に閉鎖方針が伝えられたのは9月中旬。仙台北署の担当者は時期は明言しなかったが、連合町内会の会合で「管内情勢や駐在所の老朽化に伴い、桜ケ丘駐在所は廃止し、荒巻交番と統合する」と説明した。

 降って湧いた方針を受け、連合町内会は10月下旬、反対署名を集める活動を始めた。16日現在で集まった署名は、住民や近隣学校の職員ら4826人分に達した。署名と嘆願書を県警に提出する予定だ。

警察官刺殺事件が契機に

 県警が交番や駐在所の勤務体制を見直すきっかけとなったのは、2018年に宮城野区の仙台東署東仙台交番で起きた警察官刺殺事件。防犯面を考慮して複数の警察官を常駐させるようにした。警察官は受け持つ交番や駐在所が複数となり、負担軽減が課題となっている。

 加えて効率的な交番体制の構築に向け、24時間運用をできるよう人員の再配置を進めており、1人常駐の駐在所の再編が不可欠になっているという。県内では過去5年で駐在所11カ所を閉鎖し、周辺の交番などと統合した。

 県警によると、桜ケ丘駐在所の閉鎖後は「連絡所」として建物は残す方針。警務課は「統合する荒巻交番を増員し、夜間パトロールの頻度を増やす」と説明。「住民の理解なしに閉鎖はできない。丁寧に説明していく」と語った。
(高橋葵)

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